『ジュラシック・パーク』シリーズに登場した恐竜・古生物3種
夏になると鑑賞したくなる映画、私のNo.1は『ジュラシック・パーク』シリーズです。続編の『ジュラシック・ワールド』シリーズは今年5月に地上波放送されたので、手に汗握りながら鑑賞しました。巨大生物たちが人間に迫るあの緊張感や、緊急事態のなか繰り出されるギリギリの判断、何より自然や生命といった大きなテーマのなかで煌めく人間ドラマは感情を揺さぶられ、胸がぎゅっと締め付けられます。
『ジュラシック・ワールド』シリーズの土台となる『ジュラシック・パーク』は幼少の頃映画館で両親に挟まれ鑑賞して
、その後学生時代に文庫版を読みました。映画ではスクリーンいっぱいに暴れ回る恐竜たちに畏怖と興奮を覚えて、その感動を忘れられないまま学生となり、社会人になってきます。恐竜のことだけでなく、生き物のことをたくさん学んできた今だからこそ、子どもの頃とは違う『ジュラシック・パーク』の楽しみ方があるんじゃないかと思っています。
あまり語るとネタバレになるので、『ジュラシック・パーク』シリーズに登場した恐竜・古生物のなかで、とくに私が印象に残っている3種を紹介します。いずれも劇中で大迫力の存在感を放った古生物です。
◯ティラノサウルス(Tyrannosaurus)
『ジュラシック・パーク』シリーズすべてに登場。恐竜の代名詞的な存在で、「暴君竜」を意味する名前の通り、劇中では登場人物たちをのっしのっしと追いかけたり、ほかの恐竜と激しい闘争をみせたりと、大暴れしています。私はとくに第1作目で垂れ幕が落ちるなか咆哮する光景が好きで、まさにこの映画の象徴的シーンだと感じています。
最近では「羽毛が生えていたのでは?」といわれていますが、ティラノサウルスの化石自体には羽毛ではなく鱗の痕跡が発見されています。幼体の化石がまだみつかっていない状態なので、もしかするとそれが発見されたら、羽毛の痕跡がみつかるかもしれません。
◯スピノサウルス(Spinosaurus)
『ジュラシック・パークⅢ』で登場。私はこの恐竜を、この映画で初めて知りました。背中には帆のような背びれがあり、口はワニのようにシャープ。スクリーンでこの凶悪そうな口をみたときは、寒気まじりの興奮を覚えました。
スピノサウルスの口は、魚を捕食するのに適した形状で、発見当初は浅瀬を歩きながら魚を食べていたとされていました。しかしのちの研究で、尾の形状がパドル状で水中では陸生恐竜の8倍もの推進力があると判明し、水中を泳いで魚を食べていたことが明らかとなりました。
◯プテラノドン(Pteranodon)
『ジュラシック・パークⅢ』で登場。じつは恐竜ではない、「翼竜」と呼ばれるグループに属する古生物です。シリーズでは空から襲ってくる古生物として、天地自在に揺さぶられるような、立体的でスピード感のあるシーンが目立ちました。
翼竜もまた恐竜と同様に研究が進んでおり、たとえばそのトサカは異性を惹きつけたり同種を識別するためのディスプレイだったのではないか、体色は白黒だったのではないか、などといわれています。劇中では人を持ち上げて飛んでいましたが、「ほんとにそんなパワーあったのかな?」と、ニヤリとしてしまう1種です。
ここで紹介できなかった生物たちも魅力的で、これから新しい種類の化石が発掘されるたびに、また新しい映画も生まれると期待できるのが、恐竜映画の良さです。恐竜に興味がないという人も、これから「お?」っと思える恐竜が発見されて、恐竜映画の世界に迷い込むかもしれませんよ。
参考文献
・BIRDER編集部(編)『羽毛恐竜完全ガイド』文一総合出版 2023年
・川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』新潮文庫 2018年
・「アップデートされる恐竜」『NATIONAL GEOGRAPHIC日本版2020年10月号』日経ナショナルジオグラフィック社
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