ブラジル戦 雑記 ~求められる修正力~

はじめまして、Hirotakuです。
これまでは試合を見ながら手元のノートや戦術ボードに雑記をする程度だったのですが、せっかくならアウトプットしてみよう!ということで備忘録的につらつらと書いてみようと思います。

普段はプレミアリーグ(アーセナル)やJリーグ(サガン鳥栖)を中心に
国内外問わず、時間があれば観ています。
チャンピオンズリーグを現地まで一人で観戦に行っちゃうくらいにはサッカー好きです。

初回は直近の国際親善試合ブラジル戦の感想を書いてみます。


善戦だったのか?

雨の中行われたブラジル戦ですが、0-1の敗戦であったものの
最少失点かつPKで与えた得点だったことや
直前韓国が1-5で敗れていたこともあってか
「善戦」という言葉が目立ちました。

たしかに守備に関しては、決して悪くなかったと思います。
右サイドバックで起用された長友佑都は
原口元気・伊藤純也との連携もあり
相対するヴィニシウスに対してほぼ何も仕事をさせず
後半早々での交代に追いやることに成功しました。

最終ラインでも、この日センターバックとして先発で起用された板倉は
ファウルとはなるものの、随所でネイマールを捕まえに行き
決定的なシュートブロックのシーンも見られました。

チーム全体としても人数をかけたブロックを敷けていたし
1対1で抜かれるようなシーンがほぼ無かったように
ボールホルダーに対して常に2~3枚で囲めるよう
コンパクトに粘り強く守れていたと思います。

粘り強く続けた守備は数字にも表れており
打たれたシュートは22本に及ぶにも関わらず
枠内シュートは5
与えたコーナーキックの数は4
という数字に終わっています。
この数字はそれだけシュートをブロックもしくは
可能性の低いレンジでのシュートに終わらせた結果でもあります。

一方で捉え方を変えると、それだけ多くのゴールキック(マイボール)を
手にできていたことになります。

にも関わらず、日本のシュートは6本で
枠内シュートの数にいたっては0。
ポゼッションを見ても48%:52%と
カウンター一辺倒だったわけでもありません。

では、なぜここまでシュートに結びつかなかったのか?
攻撃がまともに機能しなかった理由の一つは
日本のゴールキック=最終ラインからのビルドアップであり
代表が抱えている根本的な課題を浮き彫りにした形であったと思います。


改善されないビルドアップ

日本のゴールキックはブラジルの方が空中戦に強いことを意識してか
ロングボールは蹴らず
ほぼショートパスからのビルドアップを選択していました。

しかし、ブラジルは2トップ+両ワイドの4枚で
日本の4バックに対して同数でプレスをかけていました。
逃げどころである1ボランチの遠藤には
カゼミロ、フレッジのダブルボランチがにらみを利かせ
実質6vs5という数的優位を形成し、日本のビルドアップを阻んでいました。

試合を通して日本はこのプレッシングに苦しみ続けることとなり
時間が経過するにつれ、狙いどころと見たのか
ブラジルはプレッシングの強度を強め
日本の最終ラインにボールが渡るとラインを上げハイプレスを開始し
特に左サイドバックの中山雄太を取りどころとして
遠藤へのパスコースの遮断
⇒田中碧(鎌田大地)へパスコース限定
⇒ワイドレーンまで詰めてきたボランチ+サイドバックの2枚で挟む
という流れによって相手陣内でのボール奪取に成功し
ハイプレスで前線に残っている4枚で攻撃を再開する。
という負のループを何度も見せていました。

私がフォーカスしたいのは
この負のループが90分間改善されず、放置されていたという点です。


試合中における修正力

このシーンから課題としてあげるべきことは以下の2点。
 ①数的同数ないし数的不利となるプレスは想定できたのではないか?
 ②ビルドアップの形をなぜ最後まで変えなかったのか?

①に関しては、スカウティングの時点でどのくらい把握し
対策を講じようとしていたのか疑問が沸きます。
この日ブラジルが敷いていた4-4-2は
デフォルトのフォーメーションであり
前線から4枚でプレスをかけることは直前の韓国戦を見ても明らかで
同じような形でチャンスを作るシーンは何度も見られていました。

相手のやり方に合わせるのか、自分たちのやり方を貫くのか?
というのはサッカーにおける至上命題ではあるものの
数的有利を形成するために3バックやボランチを2枚にするなど
大きく陣形を変えずとも、講じれる策はあったはずです。

そのうえで結果として、②の状況が生まれているところを見ると
「変えなかった」のではなく
そもそも「変えるという選択肢を持っていなかった」
ように映ってしまいました。

今の日本代表に決定的に欠けているのは
試合中の修正力、だと思っています。
言い換えると、どれだけ引き出しを持っているのか。

改善の例として3バックやダブルボランチへの変更を上げましたが
森保監督自身もスタートの4-3-3に固執しているわけではなく
試合終盤に柴咲岳を投入したタイミングでは
使い慣れた4-2-3-1の形にしていたように
そもそもダブルボランチのプランは持っていたはずです。

DFラインのラインナップを見ても
パラグアイ戦で好調だった伊藤洋輝や先発していた中山雄太も
センターバックはこなせるため
3バックないし5バックに変更することは
試合中でも十分に可能だったはずであり
フォーメーションの変更までせずとも
遠藤航を最終ラインまで落として
疑似的に3枚にすることだってできたはずです。

クラブチームではないため、フォーメーションを大幅に変更することは
リスクがあるのは重々承知ではあるものの
そういった修正の片鱗がどこにも漂わず
同じシーンの繰り返しを見せられていることに危機感を強く覚えました。


課題を見つけ、解決する

個人の私見ではありますが
サッカーというスポーツは
「90分間の中でどれだけ課題を見つけて、解決できるか?」
だと思っています。
そのためのヒントが
事前のスカウティングであり
選手の立ち位置であり
両チームの思惑であるのではないかと。

そしてその課題を
選手はピッチの中から
監督はピッチの外から見つけ出し
互いに共有し、策を講じていくことが
このスポーツの醍醐味だとも思っています。

その点で見ると、ブラジル戦の日本は
我慢して粘り強く守って得たマイボールを
あまりにも簡単に、かつ同じ流れでボールを失っていて
課題を解決するどころか
課題に気付いているのかすらも疑問を持たざるを得ない内容でした。

ブラジル戦は、控えるワールドカップでの
ドイツ・スペインを見据えたマッチメイクだったはずです。

11月開催という変則時期のワールドカップであるために
海外組含めたメンバーで行えるのはあと4試合程度。
試合での修正力は、試合の中でしか培うことができません。

残りの限られた試合数の中で
試合中にどれだけ思考し
どれだけ柔軟性を持った引き出しを増やせるのか、に
着目しながら祭典を心待ちにしています。

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