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『自分クエスト』




僕は昔からゲームが好きだ。



小学校から高校2年生までは、ゲームに触れなかった日はほとんどない。


ゲームがないと生きていけないといっても過言ではなかった。





しかし、歳を重ね、ゲームに割く時間がどんどん減っていった。



今は、休日にゲームを起動するかしないか、といったレベルだ。


もちろん、大人になるとやるべきことが増え、ゲームに割ける時間が短くなっていくという理由があるのは明白だ。





ただ、ゲーム全盛期の僕がそんな理由でゲームをやめるとは到底思えない。


睡眠時間を極限まで削ってでもゲームの時間は確保していたはずだ。




◇◇◇




現在の僕は、我慢をしてゲームを封印しているではない。


なので、特にストレスも感じていない。



なぜか。





大学受験のためにゲームを封印したときは、それはもうストレスだった。



その時期、ストレスから逃げるために持っていた思考がある。





それは、


「現実をゲームに見立てる」


というものだった。




◇◇◇




僕は『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)シリーズが大好きだ。


物心ついたころにはドラクエをやっていた。


そして、魔王を倒して平和な世界を取り戻してもなお、主人公をレベルアップさせ続けていた。



キャラの育成が大好きだったのだ。







察しの良い方ならお気づきかもしれないが、僕は受験を「自分育成ゲーム」としてとらえていたのである。


自分の受験する科目をステータス化したこともあった。






【職業:英語】

★スキル熟練度

スキル1:単語 ■■■■■■■

スキル2:熟語 ■■

スキル3:文法 ■■■■■■■■■■■■








こんなのをノートに書いていたのだから、隣の人からは白い目で見られていたことだろう。


まあ、そのくらいゲームをしたい欲を満たしたかったわけだ。


実際、この作戦は成功だった。





◇◇◇





ゲームを我慢できた点に関しては、もちろん収穫だったのだが、もっと価値のある収穫があった。





それは、


「現実世界はやりこみ要素で満ちている」


という点に気づけたことである。





中学生までの僕は「無限に育成ができるゲーム」を求めていた。



しかしある時、現実に干渉しないものを育てることに虚無感を感じるようになってしまった。


現実を犠牲にしてまで仮想世界でレベル上げをしていたのだから、そう考えるときが来るのも当然かもしれない。





そして、受験期に入った。


やるべきことの多さに圧倒された。


受験に入るまでは「やるべきこと」なんてほとんどなかった。


その物足りなさをゲームに求めていたのではないかと今になって思う。




◇◇◇




そして、大学で世界は限りなく広がった。


高校までは知るよしもなかった世界がそこには広がっていた。


大学の話まで始めてしまうと収拾がつかなくなるので、今回はこのくらいでとどめようと思う。





そして今、社会人となって晴れて自由に活動ができている。




学生時代には冒険できなかった新エリアを冒険している最中だ。


そこで戦うためのレベル上げもスキル上げも、まだまだ全然足りない。


毎日がレベル上げだ。





だからこそ、今の僕は多少ゲームができなくてもなんのストレスも感じない。


中学生のころに夢にまで見た、終わりのないゲームを見つけ出したのだから。


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