「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」感想と要点紹介⑦
こんにちは、papaたぬきです。
書籍「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」より、生まれてくる思考をやり過ごすテクニックについて記事にします。
ACTでは私たちの中に2つの異なる部分があり、それは「思考する自己」と「観察する自己」だといわれています。
「思考する自己」は、計画、判断、比較、創造、想像、視覚化、分析、記憶、空想、夢想などを担当します。
現実的で問題解決的な思考を司る機能であり非常に役に立つ場合もありますが、一方で、私たちの行動を制限してしまうような危機管理、ネガティブなイメージなどにも大いに関係しているともいえます。
人類の進化の過程で発達してきた部分でありますが、過剰なまでの危機意識はときに自分の価値ある人生を歩みにくくさせる要素として機能してしまいます。
「観察する自己」は、何かに気づくことはあっても考えることはしません。集中、注目、気づきなどを司ります。
思考に注目して気づくことはできても、思考を生み出すことはできないのです。
思考する自己が私たちの経験についてあれこれ考えるのに対して、観察する自己はあなたの経験したことを記録するだけなのです。
ACTでは、普段私たちが「思考する自己」に囚われがちなところを、「観察する自己」に波長を意識的に合わせることで、過剰な思考から脱フュージョンし価値にもとづく行動に立ち戻れるようになるのです。
「思考する自己」はラジオのようなものと例えられており、頭の中で鳴り止むことなく常に流れっぱなしの、それもほとんどがネガティブな内容の、スイッチが切れない、コントロールができないものだといわれています。
もしこのラジオに注目し過ぎてしまうと強いストレスがかかり、不快な気分が募ってしまいます。
スイッチが切れないとなるとどうするか。
壊すわけにもいかず、耳を塞いで済むわけにもいきません。
そこでACTでは、ラジオは流しっぱなしにしつつも、そこに注目し過ぎることなく、バックグラウンドミュージックとして聞こえつつも必要な行動に集中することを目指していきます。
仮にラジオに気を取られることがあったとしても、自分がその状態になっていることに気づき、それ自体に何の価値判断も下さず、元の集中したい行動にそっと立ち戻っていくことが必要とされます。
不快な思考が生まれたらそれに注意を向ける代わりにその存在を認め、心に感謝し、いままでしていたことに再び注意を戻すのです。
この章では、「今、ここ」に接続するためのテクニックとして「十回の深呼吸法」が紹介されています。
目を閉じ、できるだけゆっくり呼吸をします。
呼吸に合わせて動く身体や、空気が肺を出入りするのを感じることに注意を向けます。
呼気、吸気によって身体はどうなっているかに最大限の関心を向けます。
ここでは上手にできているか、異常はないかといった価値判断は抜きにし、現実に起きていることをただ観察する気持ちで取り組みます。
もし途中で注意が思考に逸れたら、思考に対して感謝をし、再び呼吸に注意を戻していきます
次々と生まれる思考は、まるで家の前を行き交う車のようなイメージで、来るのを拒まず、去るのを追わず、ただそこにあるだけでいいのです。
マインドフルネスと呼吸は密接な関係であり、「今、ここ」の感覚と接続するためにはいつでもどこでもできるテクニックとして何度も繰り返し使用されていきます。
続きは、また次回に。
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