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「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」感想と要点紹介⑥

こんにちは、papaたぬきです。

今回は、ACTのテクニックのひとつ、「脱フュージョン」について記事にしたいと思います。

前回記事で「フュージョンとは何か」ということを書きました。
頭の中に現れる言葉に対し、それにまつわる思考と完全に融合してしまっていて、それに囚われ、がんじがらめにされ、不快な感情や身体感覚を引き起こし、適切な行動に至りにくい状況をつくるといった状態のことでした。

思考は「単なる言葉」に過ぎないのに、私たちがそれに過度に意味づけをし、信憑性を欠いたストーリーとして作り上げ、過度に信じ過ぎてしまうことで、価値に沿った行動がとれずに悩むようになってしまうのです。
これがいわゆる心理的柔軟性が損なわれた状態といえます。

ACTではそのフュージョンした状態から脱するためのテクニック、「脱フュージョン」が紹介されています。
自分の思考から分離されること、思考から距離をとること、それに囚われることなしに、少し離れて見つめることを指します。
最終的な結果として不快な感情が減少したり、別の思考が生まれたりなどしますが、あくまでそれを目的にするのでなく、まずは自分の思考をしっかりと捉え、向き合い、注意を向け、いろんな角度から眺めるといったイメージで取り組むことが大切だといわれています。

詳細な説明は割愛しますが、大まかに以下のテクニックが紹介されていました。

・「私は…だ」という思考に対し、「私は…だという考えをもっている」と文章を作り直し、再び思考に注目する。(例;「私は無能だ、という考えをもっている」)
・「私は…だ」という思考の文章をハッピーバースデーの音楽などの節回しで、頭の中で静かに歌ってみる。(歌はジングルベルでもビートルズでも、なんでもいい)
・「私は…だ」という思考に、「私は…だという物語」というタイトルをつける。(例;「私は無能だ物語」)
・思考を真面目に捉えるのをやめる。思考が語る言葉をアニメのキャラクターや俳優がコミカルに話しているようにイメージする。
・「私は…だ」という思考が出たら、すかさずそれに感謝する。(例;「心よ、ありがとう!」「情報をありがとう!」)
・イメージであれば、10秒ほどのビデオクリップに編集し、テレビほどの大きさの枠に映し出すよう想像する。色をあえて白黒にしたり、異様にカラフルにしたり、逆再生にしたり、字幕をつけたり、サウンドトラックをつけて流したり、投影する場所をテレビから人のTシャツの上など変わったところにしてみる、などして遊んでみる。

そして、認識したらそのままにしておく。
追い払うことなく、自然に去るまでそのままにしておく。
また再び思考が生まれたら脱フュージョンのテクニックで捉え、そのままにしておく。

大切なことは、思考が正しいかどうかは重視せず、あなたにとって役に立つかどうかによって適用されるかどうかが決まるという点です。
価値に沿った行動がとれそうか、あなたがなりたい人間になるための助けになるか、といった基準が軸になります。

また、改めて、脱フュージョンは不快な気分をなくしたり、追いやったりするためのコントロール戦略ではないことが強調されています。

「脱フュージョンをしたけれど不安がなくならない」という感情に抗うスタイルは、そもそも脱フュージョンの目的を本来の意味する「受容と行動」に置かれていない間違いだといえます。
またそれは負けを認めることや、諦めや、耐え忍ぶこととも異なり、現実に対して自分の心を完全に開き、「今、ここ」の現実を認めることだといえます。
肝心なことは、思考がポジティブかネガティブか、真実か嘘か、心地いいか不快か、楽観的か悲観的かではなく、豊かな人生に導くかどうかなのだといわれています。

続きは、また次回に。

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