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「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」感想と要点紹介⑪

こんにちは、papaたぬきです。
書籍「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」より、
「今・ここ」に集中するためのテクニック「接続」についてまとめたものを記事にしたいと思います。

私たちは「物思いにふける」「気が散る」「気をとられる」など表現するように、注意が現在していることではなく、過去や未来の物事に注意が向かっていることがあります。今までの記事にも書いたように、人間の進化の過程による危機察知能力の賜物だと考えられ、些細なことでも身を守るために不安や恐怖といった感情の信号によって知らせてくれる影響だといわれています。これは「思考する自己」がひっきりなしに考えを生み出し、鳴り止まないラジオのように常に心に語りかけるものといわれており、これに注意を向けすぎたり、「思考する自己の物語」を強く信じすぎてしまうことによって、自分の目指したい価値から遠ざかってしまうような行動、つまりは「現状維持に努めるために行動しない」という結果になってしまいやすいといわれています。

「今・ここ」を生きているというよりも、過去や未来に注意を向けすぎており、自分自身とのつながりも失っている状態ともいえます。

接続とは何か?

「接続」とは、あなたの「今・ここ」体験にフルに集中すること、この瞬間に起こっていることと完全につながることだといわれています。
接続は「観察する自己」を通して起きます。
「思考する自己」は、「やっても無駄」というネガティブなコメントを筆頭に、批判、判断、命令、恐怖、脅迫…あらゆる手段を通してあなたを揺さぶってきます。
どこも目指さず、何も行動せず、現状維持を続けることが「安楽ゾーン」に留まる最良の手段だからです。
しかし、それらネガティブな物語に影響されていることに気づき、過去や未来でなく「今・ここ」に集中することによって、自分にとってのベターな選択はいったいなんなのか、何ならできそうなのかを改めて考えることができ、よりよい人生に向き合うことが可能になります。

接続のエクササイズ

「接続」するには、今起きていることにオープンな好奇心をもって集中することが必要になります。

自分の五感をフルに使い、今この瞬間に起きていることを十分に感じ取ってみましょう。
1.少しのあいだ活動を休止する。
2.自分の周りにあるものを5つ選んで注目する。
3.注意深く耳をそば立てて、聞こえる音5つに注意を向ける。
4.身体の表面に感じられる感覚5つに注意を向ける。
それぞれ30秒ほどじっくりと観察します。
頭から足のつま先までスキャンするように注意を向け、どんな感覚があるか味わってみましょう。
呼吸をゆっくり行い、空気が身体の中に入ってくる感じ、肺や身体が動く感じ、呼気を長くすることで肺が空っぽになる感覚など味わってみましょう。

これらに集中している間は、「今・ここ」の体験に接続できていることになります。
しかし、その間にもひっきりなしに思考する自己はいつも通り語りかけ続けるでしょうが、それは止めることはできません。
鳴り止まなくても、注意を向けなければいいのです。

もし思考や感情による邪魔が入った場合は、次のようにしましょう。

1.邪魔になる思考や感情を起こるまま、去るままにさせる。そしてつながりを取り戻す。
2.集中力がさまよいだしたら、それが起こった瞬間にそのことを認める。
3.静かに自分に「心よ、ありがとう」と言い聞かせる。そしてゆっくりエクササイズに戻る。

効果的に接続を行うためには、日々繰り返しの練習が必要になります。
また不快な感情を避けるために接続を行おうとするとうまくいかず、できる限り自分の価値に沿う行動をとるために接続を行った方がいいとされています。
日常の些細な楽しい体験、散歩、食事、運動、仕事、それらの行動時に接続を試みるのが推奨されています。
気が進まない作業、今まで避け続けてきた行動に対しても、未来に向ける不安で動けないのでなく、今この瞬間の感覚に集中することで、嫌な気持ちでやるよりも価値のある時間が過ごせるようになるといわれています。

ここまで、「脱フュージョン」「拡張」「接続」といったテクニックについて記事にしてきましたが、どれもに共通する点として、「観察し、気づき、受け入れる」ことが何よりも大切であると言われているように感じます。
筆者はマインドフルネスの定義を「オープンな心と受容力と興味をもって、今・ここの体験に意識的に気づくこと」と言っています。
思考する自己の声を止めるのでなく、注意をわざわざ向けないこと、そしてときに影響されることがあったとしてもそれに気づいていることが大切だと繰り返し言われています。

続きはまた次回に。

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