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「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」感想と要点紹介⑤

こんにちは、papaたぬきです。

「人間は言葉に大きく依存している」


ACTでは、この「言葉」という概念が非常に重要になってきます。
私たちは言葉を2つの異なる状況で使用しており、ひとつは公共での使用である文書の言葉である「テキスト」、話し言葉の「会話」です。

もうひとつは個人的な使用である「思考」と呼ばれます。
今回注目するのは、「思考」についてです。

人間は何かを考えるとき、心の中では様々な体験をしているといえます。
心の中で「絵」をみたかもしれないし、「声」が聞こえたかもしれないし、五感を刺激する「身体感覚」に気づく人もいると思います。
ここでは、

思考=頭の中の言葉
イメージ=頭に浮かぶ絵
感覚=体の中に起こる感じ

と区別されていました。
思考は私たちの人生に大きな影響を及ぼしており、自分はどんな存在なのか、今後どんな人生を生きていくのか、いかに行動し、何を避けるのかを教えてくれます。
ここで大事な考えが、

思考はあくまで言葉でしかない

ということです。
ACTではしばしば「思考」を「物語」と呼ぶといわれています。そして、この物語は時に真実だが概ね間違った内容であるというのです。ほとんどの思考は私たちの人生の見方(意見、態度、判断、理想、信条、見解、道徳観など)の物語か、人生で何をしたいか(計画、戦略、目標、希望、価値観など)の物語のどちらかといわれています。
そして、物語にはかなりのバイアスがかかると言われており、自分の頭の中で無意識的に自分の注意や価値観の都合に合わせた編集作業が自動的になされてしまうともいわれています。
ACTではその物語が真実かそうでないかは重視せず、

「それが助けになるかどうか」

「望む人生へのプラスになるかどうか」

に重きを置きます。

フュージョンとは何か?


「フュージョン」とは、何かが混ざりあい混合し、分けることができない状態のことをいいます。
ACTでいうフュージョンとは、「思考」とそれが指し示すもの(物語と実際の出来事)が混じり合いひとつになった状態を指します。
「自分は無能だ」という言葉に、本当に自分は無能であるかのような反応を示してしまうのは、「自分は無能だ」という言葉と思考がフュージョンしているから、といえます。
「私は失敗する」という言葉に、それが避けられない結末であるかのように考えてしまうのは、「私は失敗する」という言葉と思考がフュージョンしているから、といえます。

フュージョンの状態では、私たちは次のようにふるまう傾向があるといわれています。

思考を、
・現実のように錯覚する
・信じ込む
・真剣にとらえ、最大限の注意を払う
・思考に従わざるを得なくなる
・私たちを動揺させ、取り除く必要を感じる

フュージョンした状態であると、価値に沿った適切な行動に移りにくくなり、状況が悪化することが明白なことでもそれをせざるを得ないかのような心理状態に陥ってしまう可能性が高まり、結果的に不満足な状態が続く要因になるといわれています。
この状態から改善するテクニックとして、「脱フュージョン」が紹介されています。

続きは、また次回に。

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