マガジンのカバー画像

エッセイ- わたしの身体で感じて考えたこと

25
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

深夜のぶどうと、母のこと

深夜のぶどうと、母のこと

深夜にぶどうをたべていると、受験生の頃を思い出す。

あのときわたしは18歳で、学校と家を往復して、起きている時間のほとんどを勉強にあてていた。

勉強のほかは、食べることとトイレくらい。

楽しみはいつも夕食。学校帰りの父の迎えの車のなかで、10分もすれば家に着くのにわざわざ電話をかけて「今から帰るよ、今日の夜ごはんはなに?」と母に聞いていた。

そう、受験生の頃、母はまだ元気で生きていた。

もっとみる
心と言葉の不均衡

心と言葉の不均衡

ありのままに言葉にしたい、といつも思っている。

だから、心の熱量と言葉の熱量のバランスがとれなくてよく悩む。

心で感じていること、たとえば「悲しさ」を言葉にしようとしたときに、心で感じている量、質、痛みをきちんと分量通り調合して言葉にするのって難しい、というか不可能だよね、という話。

そもそもその「悲しさ」がどんな分量、材料、味なのか自分でもはっきりとわからないし、それらにどの言葉が対応

もっとみる
言葉の意味は経験に由来する

言葉の意味は経験に由来する

「いってらっしゃい」「いってきます」のたびに笑顔でキスしていた頃があった

「ただいま」「おかえり」のたびに両手を広げてハグしていた頃があった

どんな表情で、どんな感情で、どんな振る舞いでその言葉を使っていたかで、その人にとっての言葉の意味するところは変わる

「いってらっしゃい」「おかえり」で幸せを感じられる人になれたことは良かった

世の中にはそうじゃない人もあたりまえにいる

もっとみる
宇宙と世界の大きさ比べ

宇宙と世界の大きさ比べ

幼い頃、なんとなく宇宙よりも世界のほうが広いと信じていた。

だけどある時、自分よりずっと年齢を重ねた相手に「世界は地球上のことで、宇宙は地球やいろんな惑星、銀河を含めた広がりのことだ。だから世界より宇宙のほうが大きいよ」というようなことを言われた。

ショックだった。

わたしの考えていた「世界」が違うものだった。

しかし、当時は自分が考えている「世界」を言語化するのは困難でどういうものか曖

もっとみる