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フリーランスになりたいヒトの相談にのったハナシ

あまり他人にはオススメしない生き方

 ある程度、この業界で生きていると気の合う人なんてのが少なからず出てくる。単純にハナシが合うヒトや、仕事のスタンスが似ているヒト、お店ので気になる女の子のタイプが被らないヒト、タバコを吸うヒト。
 色々なヒトと仲良くなり、あまり多くはないがプライベートでも遊んだりするようになったりもする。

フリーランスって稼げるんですよね?

 つい先日、久しぶりに会ったサラリーマン時代の部下にそんなことを言われた。オッサンよりも一回りは若い好青年で仕事が出来る。ゆくゆくは会社を背負って立つ幹部になると注目されていた若手だ。
 
 そんなカレが自分の給与についに疑問を抱いた。抱いてしまったのである。ハッキリ言って、オッサンがフリーランスになる直前にサラリーマンをやっていた会社はプライム上場をしており労務関係は超絶ホワイトであった。うっかり勤怠をつけずにサービス残業をしてしまうと容赦なく叱責され、有給休暇を消化せずに消滅させるとボーナス査定がマイナスになるという企業である。噂によると部下にサービス残業をしたり、有給休暇を消滅させた場合、マネジメント能力無しとして管理職から降格されてしまう、というような労務関係についてはだけはガチのホワイト企業である。
 その代わり年功序列がかなり色濃く残る体質が足をひっぱり、給料は年次昇給でもほとんど増えることはない。

 オッサンが全社で1%程度のS評価を貰った時で年次昇給は2万、号俸があがり翌年もS評価とって3万5千だった。一般的に見ればずいぶん昇給しているじゃねぇか、ってハナシになりそうだけれどエンジニアからするとそうではないんだよな。ある程度できるエンジニアであれば同じ仕事をしていても、転職して所属を変えるだけで年100万ぐらいの給料が増えることはザラなんだな。しかも、この会社は基本的な給与が平均よりかなり低い。

 会社の中でもスキルを磨き自己投資し上昇志向の強い人間には仕事が集まり新しいスキルと知識と経験を得るという高速育成スパイラルにハマリ、給与に不満を抱き居なくなる。そんだけ昇給し続ければ文句言う必要ないだろうとなりそうだが、オッサンの3年目の評価はE評価だった。

 何が起こったのか。

 年功序列の昇給幅モデルの壁にぶち当たり昇給することができないどころか、昇進に必要な社歴が足りず昇進もできなかったのである。(役員室に呼び出され人事担当役員と常務に人事制度の詳細説明を受けるという事態に発展した。さすがは労務超絶ホワイト企業。副業がバレたのかと思った

 ついに、これと同じことがカレの身に起こってしまったのだ。
 いや、あと数年でこうなると予想はしてたんだけれど。

カネが目的ならフリーランスは目指すな

 オッサンは、カネだけを目的でフリーランスになることは反対である。残念ではあるが本当のハナシ、「エンジニアの旬」である期間は思っているより相当短い。フリーランスとしてエンジニアの旬を超えたら管理側のPMやPMOになればいい、なんて甘く考えているヒトも稀に見るが、本当に甘いハナシである。
 脱下流工程!目指せPM!なんて胡散臭い広告を掲げる求人もよく見かけるが、真実としては全員がPMにはなれない。この業界にいる人間であれば全員知っている。
 知識や技術、経験の問題ではない。

 適性の問題である。

 こればかりは努力をしても埋められない。普通の会社の社員としてであれ時間をかけ、努力でカバーが出来かもしれないが、結果や能力を買われているフリーランスであれば、頑張ってますアピールは理解はして貰えても評価にはならず結果を突きつけられる。結果が全ての世界である。

 なので、フリーランスでワーカー職をスタートとしている場合、ほとんどの人間はPMにはなれない。その適正があったとしても、過去の実績を元にオファーを頂き、それに見合った結果を出す。その対価として高い報酬を頂く。トシを喰ってもPMにはなれず、ワーカーとして仕事をすることになる。PMをやったことはありません、このフリーランスにPM案件のオファーがくるだだろうか。発注したいと思うだろうか。

 これが現実である。

オッサンがしたアドバイス

 予算管理と人員計画、ベンダーコントロールや受発注、契約、納品まで、小さいプロジェクトでも全てをやってみる機会を探すことを伝えた。プロジェクトが億単位になってもやることはあんまり変わらない。ヒトと手間が増えるだけだ。どうせ会社員でいるうちなら誰かがフォローもしてくれるし失敗したって始末書を書けばいい。死にはしない。サラーマンであるうちは。

 PMの経験があるかないか、でフリーランスになった時の案件の広がり方が段違いに変わる。特定分野に超高度なスキルを持った特別なエンジニア以外はいつか終わりを迎える。

 エンジニアの旬は短い。それはフリーランスとして自分の特技を利用し高報酬で喰っていられる期間が短いことを意味している。
 定年と言われる時期まで働くことを考えると、あまりにも刹那的な生き方じゃないかと思う。だからこそ考えないといけない。誰も考えてくれない。本当に目の前のカネだけでいいのか?今をいつまで続けられるのか。

 その後は、当たり障りの無いお店の女の子のハナシをして別れたけれど、しっくり来ていないようだった。そりゃ、そうだ。オッサンも一回り前の年齢ではしっくりこなかったろう。


 オッサンは、やりたい事業があってそれはサラリーマンでいると出来ないことだった。そしてそれにはカネが必要。
 だから、フリーランスになった。


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