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海外取引時の契約の留意点とは

こんにちは。

知識の幅を広げてアドバイス力を高める、

プレミア士業勉強会「Knowledge Cross」事務局の佐藤です。

私たち、Knowledge Cross(通称:ナレクロ)は、

「人脈は広げたい」けれど「交流会が苦手」な方でも参加でき、
士業が安心して集まれる「ヨリドコロ」の場として、

経営的な視点で学び合える勉強会を開催しています。

そんなナレクロの2024年3月の勉強会。

「海外取引時の契約の留意点とは」

というテーマで、

弁護士の大久保 和樹(おおくぼ かずき)さんにお話いただきました。

大久保さんは、

ナレクロ運営メンバーとして、一緒にナレクロを立ち上げた仲間です。

大久保さんとのつき合いは、かれこれ6年ほど。

1月のナレクロでお話してくれた、
金丸さんが紡いでくださったご縁でした。


■大久保さんとの出会い

私は、ここ6年ほど、

気の置けない友人たちと、2月に1回のペースで飲んでいるのですが、

その飲み会に、

金丸さんが連れてきてくれたのが、大久保さんでした。

コロナの時期はさすがに控えていたその会は、

コロナが明けるとともに再開し、

ずっと続く、その友人たちとの場は、

いつも私のことを支えてくれる存在で、

私が大事にしているものの一つです。

さて、

そんな場で出会った大久保さん。

今は、独立されていますが、

独立前は、

大手法律事務所の知的財産部門で長年働かれていて、

「米国ロースクールへの留学」や「米国法律事務所での勤務」も経験されてきました。

こうした経緯から、

「知的財産」や「契約書の英語対応」を得意とされています。

大久保さんのモットーは、

「弁護士がビジネスを遅らせてはならない」。

びっくりするくらいにリプライが早いです。

■このテーマを選んだ理由

ナレクロの勉強会のテーマは、

企業のフェーズごとの大テーマを決めた後に、

そのフェーズごとに必要となる「実務や知識」を、

因数分解して決めていきます。

これまで、「創業期を深堀りシリーズ」を進めてきたナレクロ。

創業期の次は、、、

コロナ明けにより加速してきた印象を覚える

「海外展開」と決めました。

コロナ禍中、

企業は生き残りをかけて、

さまざまな事業展開をトライアンドエラーしてきました。

その中で目立ったのが、「海外とのつながり」です。

オンラインでのコミュニケーションが広まり、

日本にいながらにして、

世界各国と取り引きをする機会が増えた企業さんは多いです。

海外の企業とビジネスをしたり、

海外在住のフリーランスに、ビジネスの仲間に入ってもらったり。

いろんな形の展開が見られるようになりました。

そして、この「海外展開」。

はじめにネックになり、

将来的にトラブルの原因となるのが、

「契約書」です。

特に、

契約書が、英語で書かれている「海外取引の契約書」となると、

難易度が高いですね。

そこで、今回は、

海外展開の最初のハードル、

「海外取引時の契約の留意点」がテーマです。

■「準拠法」を優位なものにするために

少し話がさかのぼりますが、

私が企業で働いていたころ、

エンジニアの部署と法務部が、

海外との契約書のことで、いろいろとやり取りをしていました。

日本から離れると、

その国や地域ごとに、法律や条例といったルールが存在します。

国や地域ごとに大事にしていることや考え方がちがうため、

海外と取り引きするうえでは、

そういった「相手方の国や地域のこと」を踏まえて動く必要があります。

特に契約書には、

その国や地域ごとの考え方が色濃く出るので、

多方面の視点からの注意が必要となります。

大久保さんのお話の中では、

アメリカの企業が使う契約書でよく出てくる

英語の文言や構文なども紹介がありました。

そういったお話を聞くと、

国や地域の文化ごとで、

言葉の使い方が変ることに気づかされます。

そして、

契約書の中身に、どこまで細かいことを書くのか、

国ごとで本当に変わるので、

専門的な目線が欠かせないことも思い知らされます。

そんな大久保さんのお話の中で、

興味深いお話がありました。

それは、「準拠法」です。

国をまたがる契約書では、

必ず、「準拠法」を決めます。

「準拠法を決める」とは、平たく言うと、

「取引上で何かあったときに、
 どこの国の法律をもとにトラブルを解決するか」

ということを、あらかじめ契約書で定めておくことです。

アメリカと日本では、当然ながら法律がちがいます

例えば、

アメリカと日本では、

「労働者」という言葉のとらえ方が大きく異なります。

そんな中、取引上でトラブルが起きたときに、

どこの法律でものごとを解決していくかは、時として死活問題です。

日本の企業が、アメリカの法律の上で戦っていくためには、

アメリカの法律を正しく理解したうえで進めていく必要があります。

それらが分かる専門家探しから始めるとなると、

膨大な時間とお金がかかってしまいます

なので、

あらかじめ、慣れ親しんだ「自国の法律」を準拠法に設定していくことが大切になりますね。

ただ、、、

日本企業は、どちらかというと、

取引先が出してくる契約書をうのみにしがちな傾向があります。

そうすると、

準拠法が、有無を言わさずに相手国のものになってしまいます。

準拠法をこちらに有利なものにするためには、

はじめに、こちら側から、海外の取引先に対して、

「自社で準備した契約書のドラフト」を送っておくという、

先手を打つのがよさそうです。

■国や地域ごとに異なる「仲裁」の得意分野

勉強会の中では、

実際に、国際トラブルとなったときのことも話が上がりました。

海外取引でトラブルが起きてしまったとき、

企業は、マスコミで取り上げているような

泥沼の争いを繰り広げるしかないのでしょうか?

実は、、、

世界には、

「国際的に、トラブルを仲裁してくれる機関」

があります。

最近は、シンガポールが、

国策的に、自国を国際仲裁の場所に選んでもらえるように動いているとか。

ヨーロッパで、スイスが仲裁の場となったように、

文化や歴史の観点から、

シンガポールは、アジアの仲裁の場としてもってこいなのかもしれませんね。

■弁護士の専門分野を探るには

ナレクロ勉強会の後半は、

それぞれの士業の業界のことなどを深く知ったり、

情報交換をする時間です。

今回は、

勉強会の主役の「弁護士」さんにフォーカスをあてて、

みんなでディスカッションです。

よく、「国際弁護士」という言葉を耳にしますが、

「留学経験がある弁護士」といっても、専門分野はまちまちです。

どのように、そういった方たちの真の専門分野を理解していけばいいのでしょうか?

大久保さんのお話によると、

「弁護士として留学した場所」

は、ヒントになりそうです。 

弁護士事務所に限らずですが、

士業事務所は、その地域の産業と深いかかわりがありますね。

そうしたことを踏まえて、士業としての留学先を決めるようです。

・エンタメ関連を専門とする弁護士は、アメリカ西海岸が留学先の候補になることが多い。

金融関係を専門とする弁護士は、イギリスが留学先の候補になることが多い。

などなど。

はじめて会う国際弁護士の方とコミュニケーションをとるときは、

留学先のことをうかがってくと、

その方のことをより深く知ることができそうです。

地理の勉強にもなりそうですね。

■士業以外との関係性を探る

最後に出た話は、「士業以外の業種」との関係性でした。

英語の契約書といえば、

契約書の翻訳は欠かせません。

ナレクロには、AIに詳しい専門家がちらほらといらっしゃいます。

今の時代、AIも立派な「近隣業種」の一つ。

機密情報を守ったうえで、

どのようにAIを活用ながら、業務を効率化するかの話になりました。

AIは、利用規約をしっかり見たうえで使っていくことが大事ですね。

■今後のテーマ

2024年3月以降のナレクロは、

しばらく「海外展開シリーズ」として、

企業が海外展開をするうえで知っておきたいことをいろいろお伝えしていきます。

そして、海外展開シリーズのあとは、

「出口戦略シリーズ」を予定しています。

さまざまなテーマで、

士業の幅を広げていくナレクロを、お楽しみに。

※会員の方は、過去の動画と資料をすべてご覧になることができますので、会員のみなさんは、そちらもご覧くださいね。


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