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『人間失格』 読了

「恥の多い生涯を送って来ました。」

この一文だけ知っていた。
友達と本屋に行った際に、パッケージが可愛かったので購入。ちなみに友達は檸檬を購入。

人間失格は、存在はもちろん知ってはいたが、物語のあらすじなどは全く知らなかったので、何を以て「人間失格」になるのかが全くわからない状態のまま読み始めた。
というのも、作中に出てくるであろう「人間失格」を、そのままの意味の“人間失格”と捉えていなかったからである。なので、どのようなことを“人間失格”と表現するのかが楽しみだった。

結末は、まさしく「人間失格」であった。
寂しい物語だった。

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あまり内容について深く考えずに読むので特にこれといった考察や具体的な感想はない。けれども大変面白かった。そういえば昔、読書感想文が苦手だったなあ。

読了直後に思ったのは「寂しい物語」。その次に思ったのは「私ってもしかして、美青年が半狂乱になっていき、最後は牢にぶち込まれる作品が好きなのか...?」だった。前に読み終えたドストエフスキー「罪と罰」も同じ感じなので...まあ美青年が狂いゆく姿は美しいものです。

読んでいる間...特に冒頭は、何故か主人公に共感出来る部分というか、「わかる」と思う部分が多かった。
自分は主人公とは噛み合わない価値観や性格を持っているし、環境も全く違う、おそらく主人公の気持ちを永遠に理解出来ない立場にいる自信がある。にも関わらず、共感出来る部分があったのは大変不思議だ。

でも、きっとみんなこんなんなんだろうな。
みんなこうやって生きているんだと思う。
知らんけど。

ちなみに、共感出来て嬉しいことは何一つなかった。ただ「わかる」と思う度に自分自身と目が合い、ハハハと寂しく空笑いをしながら目を逸らす...というような感覚に陥るだけだった。

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作中に出て来た詩句の一部、

即ち荒っぽい大きな歓楽を避けてさえいれば、
自然また大きな悲哀もやって来ないのだ。
新潮文庫 103ページ

は、まさしく私の人生を表していて、印象に残った。
そう、望まなければ失うこともない。周りの人は「平和で楽しそうで羨ましい」と言ってくれるし、私自身も満足しているつもりだけれど、でも、やっぱり、寂しくてつまらない人生だよ。
とここ最近よく考えていたのもあると思う。今は満足しているが、死ぬ直前に死ぬほど後悔する生き方だと自分で思っている。今は。

まあ、みなさん、酒と女と薬には気をつけましょう、ってことで。

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