泣き疲れて寝たあとの、夕暮れ
カーテンが網戸に吸い込まれては離れ
吸い込まれては離れしている
夏の、蒸し暑さの残る 風があった

あの頃は、夜には涼しい風が吹いたんだ
ぱきぱきのタオルケットに 足の甲を擦り付けて眠る
豆電球眺めてたら
今日の記憶が寂しく思い出されてくるなあ

走ったら耳の横でびゅんびゅんと鳴る
私の起こした風が どこにも行かない
びゅんびゅんの音に閉じ込められて
後ろ振り返れない

向こうの林をなでた風がもうすぐこっちに来るぞ
川面を超えて
私を攫って行く気かい
遠くで別のざわめきが聞こえる



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