見出し画像

観劇日記「マイ・フェア・レディ」


マイフェアレディ、神田イライザ・別所ヒギンズ教授ペアの初日を観劇しました。

このミュージカルは1956年にブロードウェイで初演を迎えてから映画化もされ、日本でも長く再演をされ続けている名作。
ロンドンの下町の花売り娘であるイライザが言語学者であるヒギンズ教授によってコテコテの訛りを直すレッスンを受け、社交界でも通用する貴婦人に生まれ変わるシンデレラストーリー。(シアターオーブ公式サイトより)

今回初めてマイフェアレディを観劇したのですが、楽しい!嬉しい!大好き!が詰まっていてトニー賞やアカデミー賞をとるだけあるなあと思いました。

イギリスでいう訛りを日本では「"ひ"を"し"と言ってしまう」「ございます→ごせぇます」といった江戸っ子口調にして、こっちでも理解できるものになっていました。よくアメリカンジョークはそのまま翻訳すると日本では伝わりづらかったり、逆に日本のネタは外国では馴染みにくいものになっていたりするけれど、そういうギャップがあるかないかで面白さって変わりますよね。

江戸っ子口調で、とくに"ひ"をどうしても"し"と言ってしまうイライザがとんでもなく可愛かった・・・。ここでは下品な言葉づかいとしての扱いなのかもしれないこの口調までもか可愛かったんですよ。しかも聞きやすい。

前半の肝である訛り矯正レッスンにイライザ役の神田沙也加さんの明瞭な滑舌が効いていて、たたみかける"ひ(し)"の早口言葉(日は東、ひなたにひなげし~)が聞きやすいし、歌声も透き通って伸びるからいつまでも聴いていられる心地よさでした。ヒギンズ教授は正しい言葉で言ったあとに、イライザがまた直らない訛りのままで復唱するシーン、神田さん自体は正しい言い方でも言えてしまうからどこかでつられてしまわないのかな?と思う心配もなく、です。プロの女優さんは役の姿になっているときってどこにいるんでしょう。頭で考えていたらきっとつられてしまうと思う。役に向かって一心になる場面を目の当たりにした瞬間でした。

別所さんのヒギンズ教授は1幕と2幕とで印象が変わる。
最初は無鉄砲で周りに対しての気遣いに欠けるある意味正直な人だったけど、イライザを無意識にも大切に思い始めたときから可愛らしさが垣間見えてきて、ダンディで不器用さがかえって魅力的な存在になっていていました。

2幕からはイライザとヒギンズ教授のすれ違いが描かれ、不器用で偏見持ち?ゆえに教授はたびたび男尊女卑のような発言をして、このご時世をヒヤッとさせます(笑)でも、それは好きな気持ちを自覚できない歯がゆさでもあって。「なんで社交界は大成功だったのに急にスリッパ投げつけたりして怒るんだ。なにも言わずに家を出ていくなんて意味がわからん!やっぱりわかりやすい男がいちばんだ!」と言うのも無理はない。自分の気持ちに気付いてないし、そりゃあこっちだって男の人の気持ちなんてわからんわー!ってなったわ。これだから恋愛はいいんじゃないですか。知らんけども。

後にちゃんと二人はわかりあったのかな?想いが通じて仲直りしたからよかったけど、これが変わらずに一方的に理解し合わない状態だったら女性批判はコワイよね、って思ったな。女がこうとか、男がこうとか、そういう区別はすれ違いのじれったくも可愛らしい魅力のひとつくらいにして考えたら、やっぱりこの恋愛してます感はいいよね。最終的にヒギンズ教授がイライザが傍にいないこと、フレディ(社交場でイライザに惚れた男)と婚約してしまうかもしれないことに焦って「好きだ」って言っちゃうところがグッジョブでした。かっわ。かっわいい。

キャストのみなさんほんとうに素敵で、初めての観劇だからどうこう言えないけどベストマッチだと思いました。大好きな美波里さんを久しぶりにステージ上でみれて嬉しい。それに帝劇・王家の紋章でのイズミル役で知った平方元基さんも王家以来に拝見して、イメージが変わってびっくり。役が全然違うから当たり前だけど、フレディみたいな楽観的で一途な役もいいなぁと思ったし、もっといろんな役を観たくなりました。

曲もポップで華のある雰囲気がとっても好き。

東宝さんのYouTubeチャンネルは宝庫だわぁ。一度覗くとしばらく離れられない。

日本公演は渋谷・シアターオーブで初日を迎えたばかり。公演が終わったあとリピーターチケットを買う方がたくさんいました。わたしもリピーターしようかと思ったら行ける日はもう完売。一公演の重みを感じる。これが一度きりというのも生の良さなんだけどね。


初のマイフェアレディ最高に楽しめました。観劇後はパンフレットを読んでよいんに浸ろうっと!


ありがとうございます!