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イベントレポート『ブランド』を作る思考法



コンサルと打合せしているとよく出てくる「ブランディング」
彼らは一体どのくらい考え抜き発した言葉か。

5月24日noteを運営するピースオブケイクで開かれたイベント『ブランド』を作る思考法

登壇者は

渡邉康太郎氏 (Takramパートナー/コンテクストデザイナー)

東京、ロンドンを拠点にするデザインイノベーションファーム「Takram」にて体験デザインからブランド戦略まで広く取り組む。テーマは、個人の小さな「ものがたり」が生まれる「ものづくり」。主な仕事にISSEY MIYAKEの花と手紙のギフト「FLORIOGRAPHY]、一冊だけの書店「森岡書店」、日本経済新聞社のブランディング、Yahoo! Japanと文芸誌・新潮とのプロジェクト「q」など。慶応SFC卒業。在学中の企業や欧州での国費研修等を経てTakramの創業期に参加。国内外での受賞や講演多数。現在書籍化に向けて執筆中の「コンテクストデザイン」原稿をnoteにて公開中。趣味はお酒と香水の蒐集と茶道。茶名は仙康宗達。木曜26:30〜27:00ナビゲーターを務めるTakram RadioはJ-WAVEで毎週放送中。(登壇者紹介スライドより)

山口義宏氏(インサイトフォース株式会社代表取締役)

・グローバルメーカーグループ会社にて戦略コンサルティング事業の事業部長・東証一部上場コンサルティング会社にてブランド・コンサルティングのデリバリー統括・PR〜デジタル系広告代理店にて新規事業開発マネージャー・2010年にブランド・マーケティング領域の支援に特化した戦略コンサルティングファーム インサイトフォース株式会社を設立(登壇者紹介スライドより)

渡邉さんは「Takramの仕事の75%は言えない」山口さんは「詳しい仕事の内容は100%言えない」とおっしゃっていたのだが、そんな言えないお二人のお話をどこまで聞き出せるか、これはトークセッションに居合わせた人が感じられるワクワク感。

モデレーターは最所あさみ氏

GWに彼女のnoteを購入し熟読した。

さて、

トークテーマは

① ブランディングはなぜ必要なのか?
② いいブランドがやっていること・やらないこと
③ ブランド力をつける発信の仕方とは

①ブランディングはなぜ必要なのか?

ブランディングという言葉は抽象度が高い。
大企業でもわたしのようなちっこい会社でも「ブランディング」に悩んでいる。確たるブランディングが自社内でできている企業は少ない。

山口氏によるとブランディングには2種類ある。
一つ目は
インナーブランディング」で、
社内のアイデンティティとなり精神的なよりどころになる、社内的基準である。
二つ目のブランディングはお客様から見てのブランディング。
マーケットでの競争力を上げるため、経済効率をよくするため、知覚認識を高めるためのブランディングだ。

インナーブランディング

一つ目のインナーブランディングとは社内のブランディングだ。
企業が大きくなればなるほど組織問題であり、組織内での合意形成が至難の業だという。

また企業がオーナー企業なのか、雇われ社長がトップの企業なのかによっても合意形成の形が変わってくるという。

Takramのコンサル先では、インナーブランディングを確立するために社内でまずインタビューすることからはじめたという。社長から新入社員までインタビューし社内ブログに掲載。そこでブランディングに直接かかわらない社員にも周知した。社員の行動原理を考え、社内の意識を変えていく、ブランディングのための土壌作りは地道だ。一足飛びには行かない。

お客様からみてのブランディングの形成

SNSが急速に普及し、企業の広告の方法も10年前は当たり前だったマス広告からSNSで直接訴求型へと移った。時代の変化に対応するためにどちらのブランディングも欠かせないのだ。

どう見えるか」のプレゼンが重要だったマス広告の時代はいわばブランディングはコーポレートアイデンティティだったが、スマホが浸透した今、その景色も変わってきている。
一人一人がきちんとリサーチできる時代となり、ブランドと個顧客が直接関係を結べるようになった。
店舗の前を通りかかっただけで、顧客のスマホにインフォメーションが送られる、タッチポイントが店舗を超えたアプリなど、顧客がどう「体験」するかというところまでブランディングは広がっている。
決済の瞬間まで「体験」としてブランディングになる。UVERの決済方法がその事例だ。

エクスペリエンスアイデンティティでその企業、そのブランド「らしさ」を構成する必要がある。
以前は考えられなかった細部にまでブランディングが必要になってきているのだ。


②いいブランドがやっていること・やらないこと

「いい」という価値基準が若干曖昧ではあるが、このテーマの中でお二人が今気になっているブランドについての質問があった。

山口さんは友人に自慢(?)されて気にかかっていた高級自転車が個人的に気になったと言う。VanMoofというらしい。気になって店舗に赴き、テストライドしたときのパワーに驚いたのと、説明された防犯への対策が素晴らしいらしく・・・

まず、あの自転車の盗難防止のチェーンをかける必要がない。
アプリで認証ロックし、故意に動かそうと(盗もうと)するとドクロマークがライトアップされ、それでも持って行かれたらタイヤがロックされGPS機能が作動し、実際にハンター(?)に追跡してもらえる!らしい。
それでも盗難されてしまった場合はなんと新品の自転車が送られる・・・これでもか!なシステムだ。

要素要素で見れば単純だが、そこを集結し一番のりしたことに意味があるのだ。全部含めたストーリーがブランディングだ。今時っぽい要素が綺麗に統合されている。

思わず「語りたくなる」「体験」してみたくなる、これがブランディングだ。

ちなみにこの超高級自転車、サブスクもあるらしいので気になった方は・・・調べてみるといいかもしれない。サイトを見たがかっこよすぎてわたしはママチャリでよいな(持ってないけど)。

一方渡邉さんが気になっているブランドは

object ioのバッグ。

デジタルガジェットを運ぶのにノートパソコンのバッグ内での安定性は体験してみないとわからないという。これは・・・わたしにはちょっとメンズっぽくて興味が持てないのだが、これもいわゆるブランディングされた結果だ。わたしはターゲットではないのだ。こういう人もいるってことだ。万人受けするブランドを作ることがブランディングではないのだ。

しかしながらターゲット層にとっては、「ガジェットを安全に運べる、本革ながら半永久的に防水、軽量、美しいフォルム」とにかく商品に哲学が込められている、
「ブランドフィロソフィーが機能と直結」していることが重要なのだ。

もう一つ気になっているのが、山口さんが社外取締役でもある
Bean to BarのMinimalだそうだ。

ここでの開発話。
よいカカオを仕入れたいと現地に赴いたが大企業でもない会社は相手にされなかった。そこでMinimalの人達は現地の農園でカカオをチョコレートにして農園で働く人達と食べるワークショップをしたという。カカオを作っていても実際にチョコレートを口にしたことのなかった農園の人達と信頼関係を築き、そこで「この人達なら」とカカオを売ってもらえるようになったという。

開発のストーリーがブランドになっているのだ。

消費者にとってはMinimalはSNSでなんとなく見かける、が入り口で
「話題になってるみたいだから」とギフトに使ってみる
自分も食べてみる、とにかくおいしい!

おいしいけど、このチョコレートって一体!?となって前述のストーリーにたどり着く。

使ってみて感じる、そこで「いいな、もっと知りたい」と興味を持つ

FEEL FIRST LEARN LATER

(FFLLと覚えてくださいと言っていた)

モノをブランディングする場合、使って惚れ込み、思わずそれについて調べる、知人に思わず語りたくなる、そこに他と比較できないストーリーがあることで生き残るブランド力をつけることができるのだ。

モノを作っている側としては、使ってみたはいいけれども消費者が抱く期待値と違う・・・となるとブランドイメージを失墜することになる。価値に見合わないモノは淘汰されていく時代なのだ。

③ブランド力をつける発信の仕方とは

Instagram、note、Twitter、今や個人の誰もが発信可能な時代にブランドが自分たちの哲学をどこまで発信するのか。メゾンを持つような歴史あるブランドも発信をはじめている。

しかし「他がやっているのでやらなければいけない」のではない。

どれだけ語るか、語らないか。

Appleのようにあえて多くを語らず、みなの憧れの存在として君臨するブランドもあればLINEアットを駆使して消費者とのつながりを模索するメゾンブランドもある。

要は発信の量ではなく、

連れて行く先のライフスタイルを連想させる発信が必要なのだ。
そのために、コピーできない価値を作り上げる。

また発信を受ける側が楽しく誤読する余地をブランドが持っているか、
誤読可能性」も併せ持たなければならない。
ブランドが意図するペルソナ、使い方ではないことを許容する。
その誤読性も含めて、ブランドとなっていく。

さらに、読み手(受け手)にとって価値がある発信が重要だ。
ブランド側が「これだけ頑張りました」を発表する場所ではないのだ。
インナーとアウターの境目、ここは見せる見せない判断基準を持つことだ。舞台裏にはたくさんいいことはあるが、読み手不在になっていないかを常に意識する。
自分たちしか知り得ないこと、伝える価値があること。
例えばMinimalの現地ワークショップの話などがその例だ。

わかってはいたものの、この手のトークセッションに参加すると思わず期待してしまうが、これをやれば成功するというセオリーはない

ただ闇雲に最近よく聞く「ブランディング」をやってみた、が成り立つほど甘くはない。

まだまだ時間があればお話を伺いたかったが、いつもながら熱いイベントはあっという間に終わる。

さらりと「もっと詳しくは…」
こちらを紹介される。

またポチッとしてしまう週末。

#お店の未来 #イベントレポート #ブランドを作る思考法




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