見出し画像

たった一言。でも、大きな一言。

「もう、こんな人生嫌だなぁ」

そんなことを日々、思っていました。

新型コロナの影響から、会社の業務量が一気に増加し、
精神面から体調を崩してしまいました。
昔から蓄積していた人間関係の不満が、爆発した格好です。
そして、私は会社を辞めました。

アルバイトから正社員まで育ててくれた会社で、恩義がありました。
労務管理もしっかりしていて、良い会社だと思います。

でも、辞めちゃいました。

極度のストレス状態が続いてしまったことにより、
聴覚障害が起きてしまって、働くことができなくなりました。

医者からは、「うつ病の傾向が強いですね。まず、休みましょう」
という診断結果でした。

心療内科の病院って、いまいち、ピンと来ません。

単純に熱があって、体がだるい、というようなことであれば、
解熱剤を飲むことで解決することが多いです。
何より、体温計で体温が下がったかどうか、目に見えてわかります。

一方、心に関わる病気は、何かピントが合わない感じがします。
そのため、病院は、いくつか通っていますが、
「解決する」というよりは「最適解を導く」みたいな感じです。

有休消化も含めれば、会社に行かなくなって、約1か月半。
なかなか調子は戻りません。
私の場合、通り過がりの人の声に対しても、聴覚障害の影響で、
その人の会話を聞こうと勝手にしてしまい、
勝手に、気持ち悪くなってしまいます。
結果、昼夜逆転状態となり、昼間は引きこもり生活をしていました。

そんな状態ですので、深夜に散歩にいって、少し運動不足を解消し、
眠たくなってきた朝方、部屋のどこでも良いから眠る。
そして、昼間に寝ぼけながら、「ここはどこだ?」と
思いながら起きる、といった感じです。

そんな寝ぼけている状態で、スマホが鳴りました。
知らない番号からです。
もちろん、今の私は、誰とも話したくありません。
拒否の画面をタップしました。

「あれ、繋がってるのに、もしもーし…」

人の声がスマホから聞こえる。

私は一瞬、パニックになりました。なぜ、人の声がするのか、と。

今、考えれば、起きてすぐにスマホが鳴ったため、寝ぼけており、
拒否をタップする前に、スマホを握った時点で、
応答のところに、指が当たって、画面が切り替わっていたようです。
寝ぼけていたことから、自分では、赤色の拒否をタップしたつもりでした。

寝ぼけていて、ふわふわとしたまま、
仕方なく、話してみることにしました。

すると、辞めた会社の人でした。
その人は、私の正社員にするために、
エントリーシートの書き方から面談の練習まで、
付き合ってくれた人です。

「色々聞いたけど、心配になってかけちゃった。大丈夫?」

人の温もりのある言葉を聞いたのは、
いつぐらいぶりだったでしょうか。

深夜にコンビニに出かけても、無人機を使ってレジを通します。
宅配便が来ても、置き配です。
会社を辞めている間、少しでも勉強しようと思って、
ウェビナーに参加しても、心の通った会話の機会はほとんどありません。
お医者さんとは話しますが、それはあくまで診察です。

たった一言の、心配してくれる、生の声。

こんなにも嬉しいものなのか、と少し放心状態となりました。

コロナの影響で生活様式が変わりました。
直接、人と会うことは避けるようになりました。

電話やビデオ会議システムを使えば、
人と直接、会話する機会を減らさなくても良いのに、
勝手に、私は、どんどんと人と話さなくなっていました。
今では、私の体調不良の要因の一つでもあると、考えています。

新型コロナがなければ、隣の人の仕事の様子を見ながら、
前置きをしつつ、直接話して、相談できていました。
新型コロナの影響で、横を向くことさえ、避けるようになっていました。
横の人に関心を向かなくなることで、その人が忙しい状態なのか、
判別がつきにくくなり、なるべく相手の時間を奪わないよう、
メールで相談するようになりました。

ご家族がいて、一緒に暮らしていらっしゃる方であれば、
マスクをしていても、直接、声をかけあう機会があると思います。
独り身の私としては、それは、とてもとても貴重なことだと思います。

新型コロナになって、改めて思います。

人間が生み出した最高の発明は、「言葉」である、と。
そして、「心の通った会話」が、本当にかけがえのないものであることを。

たった一言。
「最近どう?」「元気?」
この言葉って、すごく良い言葉だと思います。

私が反抗期のとき、親から、「最近どう?」という言葉に反発して、
無視したり、適当にあしらったりしたこともあります。
でも、振り返ると、親の心配する思いは、
少しずつでも伝わっているものだと思います。

コロナも終息している雰囲気がありますが、
近くの人への一言の会話、これを大切にしたいなぁと、
体調を崩しながら、涙を目に浮かべながら、思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?