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目に見えないからこそ友情

「自分ではすっげぇ仲良しだと思ってたんだよね。でもやっぱりわかんないかな?これ話しても誰も理解してくれないんだよね」
[地元に残ってるメンバー会] という独身実家ぐらしの面子で定期的にやる飲み会で、誰と一番仲良かったかという話題になり、KGがジョッキのハイボールを飲み干してから話してくれた。
KGは至って真面目な面持ちで話をしていた。
なんでも、KGには小学3年から5年までの3年間、空気君という友達がいたらしい。が、KG自身にもその空気君は見えておらず、どこにいるのかもどんな顔や声をしているのかもわからなかったという。
KGが話しかけても返事をしてくれることはなく会話はいつも一方通行だったというのだ。
確かにKGは時折独り言を話していたような記憶はあるが、まさか空気君と話していたとは思いもよらなかった。
みんなは独自の世界観ありすぎだなと茶化していたが、俺はその冷やかしに賛同できなかった。
俺も空気ねーさんという見えない姉弟がいたから。

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