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学校における居心地のよさが広がるきっかけの一つ、図書館。

周りの人たちから言われたことを今でも覚えている。

" 本、好きなの? "
" よく図書館に行ってるよね "

確かに、毎日のように図書館に入り浸っていた時期もある。もちろん本は好き。とはいえ、必ずしも「本が好き」を理由に図書館にいたわけではないと思う。


義務教育時代、3つの小学校と2つの中学校に通った。周りの環境や友だちも変わった。変化であふれていた中、どの学校に行っても変わらず共通していたのが、図書館だった。

新しい学校に通い始めてある程度時間が経つと、揃っている本や自習スペースの様子などを見るために図書館に足を運び、そしてある日を境に少しずつ利用回数が増えていった。こうして新しい学校での居心地のよさが、少しずつ形作られていったように思う。


3つ目の小学校

ー 学校の中で、できることが増えた ー

英語が話せないなか転入したアメリカの学校で、どうしたら授業についていけるか悩むことが多かったこの時期。ELL(英語以外の言語を母国語とする子どもを対象としたクラス)の先生からは、「英語のこども番組を見るようにしなさい」と教わった。でもそれでは足りない。

そこで思いついたのが『マジック・ツリーハウス』シリーズの読破だった。
英語版シリーズの対象年齢は、小学2〜3年生くらい(参照元)。

当時の私は小学5年生。低学年向けの本を読むには少し対象年齢にずれがあったが、小さい子ども向けの本から順番に読んでいけば、少しずつ年齢相応の英語の本も読めるようになるのでは、と考えたのだ。

結論、この作戦は成功した。

『マジック・ツリーハウス』シリーズは読みやすい上に、歴史や地理など言語以外にも勉強になる内容が含まれていた。この図書館では悔しい想いも味わったが、同時に「読める本が増えた」という自信をつけることができた。読み進める中で英書の読書速度も上がっていった。

前よりも前向きに学校に行けるようになったのは、図書館があって、いろんな本があって、一冊一冊が自信に繋がったからだと思う。違和感を示すような顔ではなく、あたたかい表情で貸出処理をしてくれていた司書の先生にもありがとうと伝えたい。


1つ目の中学校

ー 似たような仲間が集まる空間 ー

偶然その学校が厳しかったのかもしれないが、印象的だったことが1つある。それは、先生が教室にいる時のみ生徒は教室に入ることができ、先生が教室を離れるときは生徒も基本的には教室を出なければいけない、ということ。おそらくセキュリティーの問題だと思うが、休み時間を教室で過ごせないのは衝撃だった。

第二ヶ国語(英語)で授業を受けていたこともあり、宿題には当然時間がかかる。そのため、休み時間になるべく宿題を終わらせたいというのが当時の気持ちだった。友だちと遊ぶ約束がある日以外は図書館に行き、課題に取り組んだ。

周りを見ると、同じようにやっぱり宿題をしている子たちがいた。話したことはないけれども、勝手に親近感を覚える。「私と同じだ」って。「わたしは一人じゃないんだ」って。読書を目的にした図書館利用ではなかったが、自分と似たような子たちと一緒に勉強することができた空間は特別だった。周りを見て、自分自身も励まされた。

少しでも勇気を出して話しかけてみればよかった、と当時を振り返る。


2つ目の中学校

ー 安心できる居場所 ー

宿題をすることももちろんあったが、この中学校の図書館ではたくさん寝た思い出がある。

昼寝と言っても昼休みではなく、授業が終わる夕方〜下校までの時間。図書館の奥のほうにある本棚の影はベストスポットで、少し暗めのスペースに座り目を瞑るのが最高の休息時間だった。もしかしたら司書の先生には気付かれていたかもしれないが、起こされたことは一度もなかったはず。(寝顔を見られていたら…と考えると、想像するだけでも恥ずかしい…)

学校の図書館で昼寝していたなんて今振り返ると信じ難いが、気にすることなく眠れるほど安心できる空間だったことは間違いない。



図書館が好き。本も好き。
でも、「好き」の気持ち以上に、新しい環境で頑張るために必要な存在の一つだったことを忘れずに、大切な記憶として残しておきたい。



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