20240108

 成人の日には珍しく雲ひとつない晴天だったが、空気は冷たく寒い一日だった。タイムラインには成人式の思い出のポストが流れていた。もう成人を迎えた年の倍生きていると、自分にとっては確かに成人式というのは形ばかりの儀式でしかなかった。高校時代に親しかった友達二人とまだ着慣れてなかったスーツを着て地元である長崎市の公会堂で行われた式典に行った。白袴で金髪リーゼントみたいな連中もいた。見覚えのある顔もその中にあったが、もう彼らとは住む世界が違うと思ってその場からはそそくさと離れた。なので、成人式の記憶はそれくらいしかない。その後、寒空の下をコートを着てなかったので、震えながら少し歩いた気がする。
 台湾映画『一秒先の彼女』を観た。せっかちな女性が消えたバレンタインデーの一日の記憶を探るうちに、幼少期の頃に病院で知り合った一人の男性に思い当たる。後半はいつも人より遅れたタイミングで生きてきたその男性の視点からバレンタインデーまでの顛末が語られるSFラブストーリー。時間の概念が面白く、やり尽くされていたと思われた時間SFをこの一つのセンスオブワンダーで物語にしたというところに感嘆した。

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