20230504

 晴れて気温も上がった。昨日の混雑を鑑み、今日はおとなしく家で過ごすことに決めた。手始めに掃除をすることにした。ここ最近で買った本がうず高く積みあがったテーブルの上から動かすのが一苦労となり、少し掃除にも億劫になってしまうが、気持ちを奮い立たす。積読本を動かす度に、あ、これ読まなきゃ、あれも読まなきゃ、と思い少しページを捲ってしまうので恐ろしく時間がかかる。掃き掃除を終えて、クイックルワイパーを床に這わせる。その合間にリセッシュをソファやベッド、ラグに振りかける。台所やユニットバスは拭き掃除をして、パイプフィニッシュで排水溝のつまりを溶かす。一通り部屋の掃除を終えると軽く半日が暮れる。心地よい徒労感は爽快感と入り混じったせいかもしれない。改めて、何部屋も掃除を毎日のように行う主婦業には尊敬の念を抱かざるを得ない。アマプラで気になっていたギリシャ映画『テーラー 人生の仕立て屋』を観た。けっこう良かった。銀行に差し押さえられる前に、父から受け継いだ仕立て屋を立て直そうと、スーツ仕立てだけしかできなかった息子が一念発起し、出張してウェディングドレスを仕立てる仕事を立ち上げる。その際に、隣家の主婦の手助けを借りながら二人は惹かれ合っていく。この映画で良かったのは、かなりリアリズムに重点を置いたラストへと着地するところ。当然、一朝一夕で始めた商売が莫大な利益など生むわけはないし、家庭のある女性との恋がどういう結末へ向かうか、そういった現実をカタルシスのために蔑ろになどしないという点、その上でただ後味の悪い悲惨さを持って物語を閉じることもなく、どこかすがすがしさまで持ち合わせた終わり方は実に秀逸。

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