20231229

 あさ、大通りの交差点で車の衝突事故の現場に遭遇した。衝突した瞬間は見ていないが、白い国産車の軽ワゴンが助手席側を下にして横転していた。もう一方は外車の乗用車でフロント部分は大きくひしゃげていた。おそらく、右折した白い軽ワゴンの車体に停まれなかった外車が突っ込んで横転させたのだろう。中の人はすでに引き上げられたらしく、車内はもぬけの殻だった。目撃者だろうか、運転者だろうか、中年男性が警察官に事情聴取されているのを見ながら、信号が青になったので歩道を渡った。とうぜん、交差点の真ん中には事故車が転がったままだ。交通整理の笛の音を背後に聞きながら、あれを移動するのにどのくらいかかるのだろう? 渋滞するのだろうと思った。
 幸いにも、わたしの人生においては今のところ、大きな事故にあったことも、知り合いなどが事故死したということもない。一度だけ、大学時代の友達がバイクで交通事故を起こした知り合いのもとへ病院に見舞いに行くというのでついて行ったことがある。友達は「悲惨だった」としか言わなかった。その時の詳細は全く思い出せないが、なぜか村上春樹の「めくらやなぎと眠る女」の病院での場面と奇妙にリンクしてしまう。あの話では、病院前のバス停が印象に残っていて、病院へはバスで行くものというイメージがわたしの中で出来上がっている。だが実際には、友達の車で行ったはずだ。こうして、記憶が奇妙に変化してしまうのかもしれない。あの後、事故で怪我した友達の知人がどうなったのかは知る由もない。

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