デジタル・テクノロジーへの挑戦と起業の半生を振り返る
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デジタル・テクノロジーへの挑戦と起業の半生を振り返る

100年続くベンチャーが生まれ育つ都研究会

第5回公開研究会
日時:2020年10月19日 18:30-20:30
講師:藤原 洋 氏(ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO、株式会社インターネット総合研究所代表取締役所長)
於:KRPたまり場よりZOOM、YouTube Live配信

 第5回公開研究会では、IT業界の黎明期に複数の株式上場をはたし、現在も企業経営、ベンチャー支援活動や複数の公職でIT業界を牽引する藤原洋氏による講演と、パネルディスカッションを行った。

藤原氏講演

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新技術への挑戦

 講演は、藤原氏が大学を卒業し、就職して半年で大企業を退職したエピソードから始まった。常に自分の好奇心や技術者像と向き合いながら、次々と新規事業に携わり、立ち上げていく起業家の半生の始まりであった。冒頭に紹介された企業人としての仕事の数々からも、常に新しい技術に取り組み、積極的に機会を掴みにいく藤原氏の姿勢がみられた。藤原氏の関わった事業は、初期のCPU開発、ミニコンの開発、原発の配電盤設計、FA向けLANの構築、画像圧縮技術の導入など、新技術への挑戦の連続であった。

起業、上場、そして連続起業へ 

 40才で株式会社インターネット総合研究所を起業すると、1999年から2005年にかけて、3社を次々と上場に導く。一方、順風満帆かにも見える起業家人生には、大きな障壁もあった。買収した子会社の粉飾決算による上場廃止である。藤原氏も自らのM&A実績を、7勝3敗1分け1大敗と評する。2011年には、業績も回復し、上場廃止時に売却した株式を買戻し、再上場を果たしている。

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企業が上場する理由
• 目的があるから:
 1.「社会の公器」としての「企業成長」による「社会貢献」
 2.「社会貢献」のための「企業成長の加速」
• 適性があるから:
 1. 法律を遵守する企業体質
 2. 適正な会計処理を行う企業体質
 3. 社会に貢献する事業内容
 4. 成長性ある事業内容
• 効果があるから
 1. 株式市場からの大規模な資金調達
 2. 株式交換によるM&A
 3. 社会的信用力の向上(コンプライアンス、与信)
                      (藤原氏のスライドから)

 藤原氏は自らのキャリア論として、大学は基礎を身に着ける場所、企業は実学を学ぶ場所、起業は変化を起こす場所と総括している。

ポストコロナ社会を展望する

 コロナ禍においても、藤原氏は次々と新製品や新技術の開発、企業買収や財界への意見の発信を続けている。そして、ポストコロナ社会における産業構造の大きな変化を予見している。第4次産業革命の本質をデジタル・トランスフォーメーションととらえ、IoT、ビッグデータ、AIの導入による、ソサエティ5.0の実現であると、藤原氏は語る。

 最後に、社会課題への向き合い方として、寄付にもとづくチャリティよりも、社会課題の解決に取り組むフィランソロピーが重要であると説いた。また、起業家がメンバーに発信すべき事として、①技術革新を担う達成感が最大の報酬、②知恵・愛・根性の三ある仕事、③逃げない・隠さない・嘘つかないの三ない仕事、を挙げ、自らの波乱に満ちた起業人生の経験から、後進の起業家へとメッセージを送った。


パネルディスカッション


パネラー:藤原氏、今庄啓二(京都大学経営管理大学院 客員教授)、竹林一(京都大学経営管理大学院 客員教授)、山本光世(京都大学経営管理大学院 客員教授)

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論点1:我々はなにもの?:内外からみる京都
論点2:どこにいるのか?:「ものづくり」と「デジタル・テクノロジー」
論点3:どこにいくのか?:「イノベーション」と「エコシステム」

Q. 世界中で活動されているが、あらためて京都のもつ意味とは何か?
藤原:時間に追われていないので、バズワードに踊れされず本質を追及するには最高の街。流行を追いかける街ではなく、作る街である。
山本:京都試作ネットでは、金属加工だけでなく、食や観光、教育への関心が高まっている。日常の生活に根ざした課題に注目している点が当てはまるかもしれない。
藤原:いまはグローバリゼーションの時代だが、京都は高度にローカリゼーションしている。文化はグローバル化できない。
今庄:アメリカの場合、東海岸には文化があって西海岸にはないというが、京都はその比ではない。言語とは別の部分で太刀打ちできる場面が多い。

Q. ものづくりとデジタル・テクノロジーはどう変化しているか?
藤原:ものづくりのビジネスモデルが変化している。有名な例は、ゼロックスやキャノンがプリンターではなくカウンター(印刷枚数)を売り出したことである。デジタル・テクノロジーの普及によって、製品開発が供給側(技術者)の視点ではなく、インターネットでつながっているユーザーのニーズに基いて作られるようになる。素材産業の競争力は変わっていないが、ユーザーの近いところで売り方を考える必要がある。
竹林:いいものを作ることはできる。モノからコトへという発想を転換することに、コツがいる。

Q. 科学者としての藤原さんと、経営者としての藤原さんはどう分かれているのか?
藤原:いまだにエンジニア・研究者としてのマインドを持って大学と関わっている。大学がハブになり、競争相手も一緒になってコラボレーションすることができる。大学と企業の連携も進めるべき。
今庄:HRC研究会はJOHNANという中小企業が中心だが、寄付講座であることで錚々たる企業が参加し、研究を進めている。大学発ベンチャーを生み出す仕組みもできつつあり、期待している。

Q.「達成感が最大の報酬」はエンジニアの共感が得られやすいように思うが?
藤原:どれだけ社会にいい影響を与えたか、価値を生み出したかが重要である。給与ではなく、面白い仕事をアサインできるのが経営者の役割である。
竹林:数学者を採用することを重視する企業も出ている。問題を解くのが好きな人が集まり、好循環が生まれている。
今庄:経営者のキャラクターが一番重要である。藤原さんはトラブルがあっても顔に出ない。

Q. エコシステムという視点から見たとき京都はどうあるべきか?
藤原:よそ者が京都に来てチャンスをつかめるというのが、最大のエコシステムである。舞妓さんもほとんどが別の地域から来ている。人集まることによって魅力が作られていくべきで、既に一部できている。
今庄:京都のとっつきにくさを気にせずに突き進める人がよい。
竹林:異質なものを受け入れる素地はあるかもしれないので、京都大学を拠点に進めて行きたい。
藤原:究極のオープン化を目指し、トラストの仕組みと、それを作るためにデジタルテクノロジーを活用すべきである。

Ⓒ京都ものづくりバレー構想の研究と推進(JOHNAN)講座, Shutaro Namiki(Licensed under CC BY NC 4.0)


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