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与那国島旅行記②(日本最西端〜泡盛ゆんたく編)


前回のサムネイルでネタバレしちゃってますが、日本最西端にたどり着きました。

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一仕事終えた気分。
ここからは島の逆側を通って宿に戻ります。
たどり着きたいのはクブラバリ…。
途中、行き当たった謎の廃墟。

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海を臨む車のシート。
オーパーツ的雰囲気を出している。

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方向修正して、これがクブラバリ。

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人頭税が課せられていた時代、人減らしのために妊婦はここに立たされて、決死のジャンプを迫られたらしい。

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写真だとチャンスはあるのではないか? と思えてしまうくらいの隙間に見えるけど、近くに寄ってみると、これは無理だな…と。
一抹の希望を抱いてしまうのがタチが悪い。 
実際全ての妊婦が転落死するか、流産したらしい。
なんでわざわざそんな意地悪いことをしたのかと思うけれど、突き落とすのは罪悪感があるのか、殺人犯が生まれてしまうからか、一抹の希望があれば抵抗が弱まるからか。
空港に帰る途中の道には「人頭税廃止記念の碑)が立っていた。

さらに車を走らせてティンダハナタへ。

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ここは要するに見晴らしの良い丘でしょー?とスルーするつもりだったんですが、時間が余っていたので立ち寄ったら大正解でしたね。

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イヌガン、という洞窟?
与那国祖先の起こりの伝説がある場所。
女一人と犬、男数人が漂流してこの島にたどり着いたが、犬は一人また一人と男を食い殺してしまい、後には女と犬だけが残った。
この一匹と一人はこの洞窟で暮らしていたが、ある日また一人男が漂流してくる。
女は犬のことを警告するけれど、女の美貌に惚れた男は逆に犬を殺してしまう。
その後二人は結ばれて、7人の子宝に恵まれるが、ふとしたことから女は犬の殺害の件を知り、ついに自死する。

サクッと聞いてしまうと、つまりは犬と女は恋愛状態にあったということか…と考えてしまいますけれど…。
誰が言い出したか知らないけれど、決して明るくないむしろ失礼だけど生臭いとすら言っていい、物語を祖先とするなんてなんだか…と思いつつ、この島を一周してきた後では納得、という感じもする。
同じ八重山でも例えば西表島は自然に溢れているけど、保護区だけあって、観光地以外にはほとんど人の生活の気配がない。石垣島まで行くと文明の香りがする。
与那国島には諸に生活の匂いがします。人は少ないし、観光以外の娯楽がない島だけど、割れたまま捨てるところを失った器や、日々の洗濯と乾燥に晒されて黄ばんだタオルの匂いがする。

もう一つ、なんとも言えない気持ちになるもの。

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おゝ汝は
黙々として
皇国南海の鎮護に挺身する
二十五万隻の航空母艦だ


伊波南哲という石垣島出身の詩人の詩だそうです。

最後に寄り道。

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地図上だと「一億円の墓」。
沖縄って本島でもやたらと墓がでかくて特徴的(仏教ではなく祖先信仰らしいです)なんですが、いつぞやの昔与那国に住んでたお金持ちのお墓らしい。でも噂レベルで真相は謎。特に観光地化もされてないです。一応私有地らしいので(誰の?)

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一応お墓なのでこの先は写真は控えます。

与那国着いたときにはカンカン晴れだったのに、墓についた頃に急に雨が降り始める。
すごすごとレンタカーを返して一旦宿へ避難。
雨は止んだけど風がびゅうびゅう吹いてきた。
これ明日の朝の飛行機飛ぶかな!?と不安になる。

宿のお部屋も一応。

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ベッドがある!!有難い!
シャワーは共同です。ダイバーさんも使うので外にあります。
とっとと済ませて夕食までの時間を潰す。
そういえば、19時といえばその直前に日没だなと思い立って、歩いて近くの海まで行ってみることに。

この空模様では難しいだろうなあと悟りつつ、他にすることもないので坂を下っていくと港についた。

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こんなところまで水が青い!

廃船になったグラスボートを見つけた。

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これは海底遺跡を見に行くための船です。
実は「そうだ、石垣島行こう!」となったときに、その周辺の離島どこ回ろう?という候補で与那国島が首位に躍り出たのは、この海底遺跡のためでもある。
浪漫が…あるじゃないですか浪漫が……。
一日かけてダイビングに初挑戦してやろうかとも考えていたけど、冬の海、寒くない?という冷静な懸念と、資金面の理由で断念。
船底から観察できるグラスボートがネットの検索でチラホラ出てきたので、「ジャックス・ドルフィン号」というのを出しているらしいホテルに問い合わせてみた。
5人以上いないとツアーは催行されないらしいので。
何度かメールしてみたけれど、既に作成者も忘れている古いページなのか、経営者が変わったのか、返答はなく…。
その後島に着いた後も結局方法はわからず断念した。
一つ前の写真に別のもう少し状態がマシなグラスボートが写ってるし多分違うだろうけど、廃船になってしまったんだきっと、仕方ない、盛者必衰の無常を感じるなあ。
……この後宿で話を聞いたらまだ運航しているみたいですけどね。結局乗り方はわからなかった。もしもう一度来れる時があったら三日は泊まって、初日に情報収集してなんとか…いやいっそダイビングを…。

まあ泣き言は置いておくとして、宿に帰って夕食。
なんだか結局この夕ご飯が遺跡に代わる与那国一番のハイライトになったかも。

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宿のご夫婦が作ってくれる夜ご飯。
右手前のあら汁みたいなの、魚の目玉がガッツリ入っててインディジョーンズ思い出しましたけど、美味しかったです。プリプリ。

食堂には常連客っぽい男性が一人と、一人旅の男性一人、どちらも60代くらい。比較的若い一人旅か、仕事で着ている男性が一人。この方は早々に切り上げてお部屋に帰っていかれました。
後から来たダイバーの男女。入り口の冷蔵庫からオリオンビールの缶を掴んで入ってきた。チェックアウトのときにまとめて払うらしい。
ビールもいいけど、常連客の男性が飲んでいる泡盛が気になる。
勇気を出して一つくださいと頼むと、この常連客の人がたくさん飲むなら飲み放題がいいよと勧めてくれる。
泡盛グラスで300円、三種飲み放題で700円。確かに安い。
いや、表示には気付いていたけど「飲み放題で!」と頼む勇気がなかった…
有り難く便乗して飲み放題頼むと、瓶が足りないとのことだったのでテーブルを移動してこの常連さんと相席で飲むことに。

テレビでバラエティ番組が与那国に来たときの回を放送している。宿の人は誰がどこの子供か把握してるみたい。

そのうちダイバーの二人も泡盛飲み放題に加わって、皆で喋りながら飲む流れに。
こういうお喋りのことを島言葉で「ゆんたく」というらしい。

一晩でいろんな話をしました。
年配のお二人は会社を引退されて一人旅。常連の方は毎月一〜二週間は与那国に滞在されているそう。
羨ましい…。
自衛隊が来るときは外の人の反対があったけど県道の整備やコミュニティバスが遅くまで走ってるのはこのおかげだ、とか
十年以上前に某化粧品メーカーが、長命草を使ったサプリを販売するから、サトウキビ畑をやっていたお年寄りに、長命草の栽培と出荷を勧めた。だけどここ最近になって売り上げが悪くなったからもう買い取りが来なくなった。サトウキビを辞めてしまった老人たちは困り果ててる…云々。

なんとも民宿らしい時間を過ごして、すやすや熟睡。
飲んだ泡盛は「どなん」「与那国」「舞富名」の三種。

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「どなん」が一番すっきりして、甘味があって飲みやすい。どなんは「渡るのが難しい」と書いて渡難。方言で与那国のことを指すらしいです。
「与那国」はしっかり泡盛の味がする。
「舞富名」は二つの中間くらいの味。
特に「どなん」が本島の泡盛にはない味で気に入ったので、帰りに空港で小瓶を買って帰りました。
度数の違いについてよく知らなかったんですが、60度を超えるものは「花酒」と言われていて、与那国でしか造れないらしいですね。
空港で買ったのは花酒。売店の人が「あまり入ってこないんですよ〜」と教えてくれた。

その他、空港で買ったお土産たち。

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クバ餅は黒糖ういろうに近い味がしました。ネバネバ!

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朝一の便で石垣に戻ります。

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この後、空港から離島ターミナルに移動して、高速線で西表島に渡ります。
西表島旅行記に続く。


1本の記事を書くのに大体2000~5000円ほどの参考文献を購入しているので完全に赤字です。助けてください。