絵を描くこと、山に登ること
かれこれ30年以上、絵を描いています。
というのも変な言い方です。
美大を目指し始めたのが、高校1年生の頃でした。それから美術の世界で生きていこうと絵を始めて30年以上という意味です。
それ以前に、物心ついた頃から絵は好きでいつも描いていたので、今までずっと絵を描いてきたとも言えます。
絵を描くことは、生きる術にも通じるものがあるように思います。
焦ってうまくやろうとばかりしていると大概失敗します。
偶然うまくいくこともあります。
考え過ぎてもよくありませんし、かと言ってまるっきり考えなくてもよくありません。
考えるだけでなく、物事を感じることが大切です。
絵の近くばかりを気にしていると、視野が狭くなります。絵を遠くから見たり、近くを見たり、たまには絵から離れて気分を変える必要もあります。
物事を感じ、考え、動き、技術を身につけて、知識を持ち、あるゆることが相合わさる時に、いい絵が描けたりします。
ただ絵が描けたと思った束の間、たちまち欠点が見えてきて、新たな課題が現れます。
なのでまた描くことになり、終わりがありません。
絵を描くことを、山登りに例えて考えることがあります。
山に登る時は、一歩一歩自分のペースで進みます。焦って急いだりしてしまうと、疲れたり足を痛めたりしてしまいます。
絵も同じように、完成を焦って闇雲に進めると、道に迷うかのようにどんどん絵がダメになっていきます。
焦って完成は目指さずに、一筆一筆、一歩一歩、その時その時の最善な選択を淡々と繰り返しているといつのまにか目的地(完成)に辿り着く、そんなイメージです。
描いている間、つまづく事は何度もあります。失敗したり、進まなくなったり、どうにもならなくなる事も間々あります。
修正を繰り返し、試行錯誤して、また道を見つけて進みます。
きっと目的地、(完成)に辿り着いたとしても、きっと次の目的地(課題)が現れるのでしょう。
絵を描くように、山に登るように、そんな風に生きていけたらいいなと思っています。
絵を描いて30年経ちました。
運良く今後長生きできるとして、まだ30年も絵を描くことができるのかと、ふと思いました。
30年後には、今より納得いく絵が描けるようになれたらいいです。
そう考えれば、まだまだやることはいっぱいありそうです。