未来2023年8月号詠草『ゆかり』
未来2023年8月号詠草『ゆかり』 風野瑞人
既読には意味などなくてささやかに火を灯そうと声がけをする
未来にも過去にも触れず今ここを照らすひかりを重ねて囁く
届かない届けられないおやすみに忍ばせたはずの温もりのこと
はかなさにいのちを吹き込むお話をいくつしますか もういいですか
いくつもの言葉を選び組み換えるたびに失うこころの体温
早すぎた結び目でした もうすっかりほどけてしまった 糸くずさえない
気がつけば仮面仮面のミルフィーユ とうに潰れてしまった自画像
終わるしかないのでしょうね うっすらとつながっているこころの回廊
おはようがさよならになるおやすみがさよならになるみんなさよなら
目覚めると静かな朝に迎えられ ほかにはいない 誰もいない
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