未来2023年7月号詠草 『孤立』
未来2023年7月号詠草 『孤立』 風野瑞人
曇りの日ガラスの向こうに吹き溜まる空気も力なくたたずんで
石になることばのころがる街角に碇泊している 人の隙間
生きているあいだに出逢う温もりから遠く離れた水たまりを踏む
好きになることを恐れて閉じこもる アポトーシスの音を聞きつつ
毒のある魚でごめん いい水も悪い水もよくわからない
触れないで触れられないでどこにいるかも知らず ひかりも射さず
遺伝子の切れ目のように容赦なく姿を変える孤立を引き継ぐ
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