見出し画像

株主提案の動向④(2022年6月株主総会)~報酬の個別開示等

 上場企業の株主総会において、株主提案権が積極的に行使される傾向が現れてきています。公表されている情報から、2022年6月の株主総会における株主提案の事例を集めてみました。

 今回は、古くて新しい議論ですが、取締役報酬の個別開示(を行う旨の定款変更)に関する事例と、その賛成状況について紹介します。

 日本では、報酬の個別開示について、法令上の義務がある1億円以上の役員報酬を得ている役員以外の役員の報酬額の個別開示を行う例はかなり稀ですが(武田薬品工業株式会社さんなどが有報で開示している程度)、特に海外の機関投資家からは疑問を呈されている部分です。こちらについても、比較的賛成票が集まりやすい状況が見られますので、ご紹介します。

(参考)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/PJT/dai3/sankou.pdf

・日本証券金融の事例

・東京電力HDの事例

・関西電力の事例

・三井金属の事例

・シチズン時計の事例

なお、シチズン時計の株主総会では、取締役会議長を社外取締役とする旨の株主提案についても比較的高い賛成率を集めていることから、あわせてご紹介します。

さいごに

 現行法下では適法に付議するためには定款変更議案として構成するほかなく、可決に至る例はみられませんが、やはり高い比率の賛成票が集まる傾向にあります。なお、報酬額の個別開示以外にも、ガバナンスに関する提案事例が見られるようになってきたのが近年の特色かと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?