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古き良きベッタベタのラブロマンスに期待。

録画しておいたドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』を観ました。

広瀬姉妹が好きなもので、昨年は姉アリス主演のドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』を観たから、今年は妹すずのドラマでも観ようかと。

とにかく北川悦吏子脚本が光っています!
全エピソードの中で最も重要と言える第一話の作りの良さは流石としか言いようがありません。


***

冒頭、シャレオツなカフェで一杯600円くらいしそうなドリンクをテイクアウトする今風のイケメンが主人公。本ドラマのメインターゲットであろう二十代女性の心を鷲掴みにしたでしょう。

彼がブルートゥースイヤホンで聞くのは、よく知らんが最近流行りのミュージシャンの曲らしい。


そこでヒロイン、広瀬すずの登場。
主人公のイケメンと肩がぶつかる。
その拍子に互いのブルートゥースイヤホンが落下……。


まさか……

まさか……!!

まさか……!!!!


はいっ、いただきました!
二人は偶然同じ歌を聞いていました!

ドラマみてえな(笑)出会いを果たすお二人。
いいですねえ。


この場面、二人に同じモデルのイヤホンを使わせているのも本当にうまい。
同じ歌を聞いていたからイヤホンを取り違えたことにはじめは気づかず、距離が離れたタイミングで通信が切れて気づくという流れ。

携帯電話の登場で「連絡が取り合えずにすれ違う」展開が使えなくなった、なんて話を聞いたことがありますが、これは逆に現代的なツールをうまく使った見せ方ですね。
荷物の取り違えからキャラクターを接触させていく手法自体は新しくもなんともないのですが。北川悦吏子の腕に感服です。


ところがどっこい、ヒロインにはすでに彼氏がいる模様。
簡単には主人公とヒロインを近づけさせません。


それにしても広瀬すずは演技が達者だなあ。
方言演技も自然だ。表情もいい。とにかくナチュラルだ。


***

二人が出会ったのは九州。
そして舞台は東京に移ります。
主人公は元々東京の人のようですね。


東京でも偶然の再会を果たす二人。
多少強引でも単純接触の機会を重ねて描かないと始まりませんから。学生恋愛や社内恋愛のストーリーだとこの辺りが簡単なのですがね。


広瀬すずの演技が達者ゆえ、エピソードがなくてもヒロインの人間性が見えてくるのですが、脚本上でも展開と並行してしっかりキャラクターを描いています。
高速バスで大口開けていびきかきながら寝てしまうとか、噴水で顔を洗ってしまうとか。
まあベッタベタのやり方……だが、それがいいッ。


ヒロインが上京したのは、来月彼氏と結婚するからでした。
ウキウキのヒロインに、しかし彼氏は突如婚約を解消したいと告げます。
呆然のヒロイン。

そりゃそうだ。
彼氏よ、せめてお前が九州に赴いて別れ話をしろよ。結婚一ヶ月前に上京させておいて言うことか。

彼氏は元々優秀で、東京で金持ちになっていました。要するに『木綿のハンカチーフ』のパターンですね。



一方、主人公は新人ミュージシャンであるとわかります。
プロデューサー的な女性に新曲を散々こき下ろされる主人公。

あんた……恋してないでしょ。
傷ついてないでしょ。
憎んでないでしょ。
恨んでないでしょ。
人を、愛してないでしょ。
……泣いてないでしょ。


こんなこと言うやつ実在するのか?笑
言うほうも言うほうですが、主人公の返しは更に秀逸。

「自分がいつ泣いたか……思い出せないです」


ふふふ。
主人公のキャラクターも見えてきました。
でもちょっとこの件は台詞といいなんといい、古臭すぎるかな。
主人公の人間性はもう少し別の形で見せてほしかった。


***

――と、こんな感じで繊細アーティスティック男子と天衣無縫の田舎っぺ美女の恋愛が始まるようです。


木綿のハンカチーフよろしくヒロインが失恋する展開は、ラストへの前振りになっている気がしますねえ。
主人公との間にも同じような展開を設けるのでしょうか。
彼が音楽で成功し、喜びを分かち合う一方で住む世界が変わっていく。すると二人の間に徐々に溝が生まれて……みたいな。
逆にヒロインをなんらかの形で先に成功させ、彼女をフッた元婚約者と似た立場・状況に置くのかな? いやこれはないか。


昨今は恋愛モノにおいても、地に足のついた設定とリアルな世情・価値観を反映した内容が多いですが、今作は(少なくとも第一話では)ベッタベタをやってくれているので、この方向性で突き抜けてくれたら嬉しいですね。


第二話も観たいと思える秀逸なドラマでした。

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