- 運営しているクリエイター
記事一覧
パンダのプンダ、旅に出る その10
最終話「パンダのプンダ」(全10話)前話|目次|
そこにいたのはゼブリでした。
シマウマで、女の子に恋をしていて、でも成就しなかったゼブリ。
それはとても苦しいことだということを、誰かを好きになることを知ったプンダにはわかりました。あのとき理解できなかった痛みが、プンダの中にもあるのですから。
ゼブリはプンダを見ると首をかしげました。
それもそのはず、プンダとゼブリが出会っ
パンダのプンダ、旅に出る その9
第9話「パンダのプンダ、パンダになる」(全10話)前話│目次│次話
北極は右も左も前も後ろも真っ白です。真っ白なプンダですので、まるで北極に溶けてしまったような気がしました。シロクマたちに話かけようにも、きっとプンダのように真っ白で、なかなか見つけられないでしょう。
でも、プンダが探しているのはシロクマではなく、パンダになってしまったシロクマです。この北極の中では白黒のシロクマはすぐに見つ
パンダのプンダ、旅に出る その8
第8話「パンダのプンダ、走る」(全10話)前話|目次|次話
プンダは生まれて初めて恋をしました。
アライグマの女の子、アイマに恋をしてしまいました。
そうと気づいた途端、もうドキドキが止まりません。アイマはプンダの白い毛が大好きだと言います。いっそこのままシロクマでいてもいいんじゃないかとさえ思います。そしてアイマとずっと一緒にいられたら――。
もちろん森の外ですので笹は食べられな
パンダのプンダ、旅に出る その7
第7話「パンダのプンダ、恋をする」(全10話)前話|目次|次話
シロクマのロクマに会ったプンダですが、ロクマが言うには北極にパンダになったシロクマがいるとのことでした。もしかすると、これでプンダはパンダに戻れるかもしれません。でもプンダは心の中では「北極は遠いなぁ」と思っていたのでした。
プンダは「ありがとぉ」と深々とおじぎをします。そうしてロクマと別れたプンダは、ちょっとずつ北へ歩き出し
パンダのプンダ、旅に出る その6
第6話「パンダのプンダ、シロクマに出会う」(全10話)前話|目次|次話
ゼブリはプンダに手を振ります。
「じゃあなプンダ、パンダにもどるためにがんばれよ」
プンダもまた、手を振ります。
「ゼブリも、うん、がんばってねぇ」
プンダはまだシロクマです。シマウマのゼブリから黒い模様をもらうという作戦は、けっきょく成功しませんでした。誰かからどうやったら模様をもらえるのか、そういえばプンダ
パンダのプンダ、旅に出る その5
第5話「パンダのプンダ、シマウマに出会う」(全10話)前話|目次|次話
「わっ、わわぁ! シロクマだ!」
ほら穴の中で、さみしくなっていたプンダですが、その声にびっくりして思わず飛び上がってしまいました。
「えっえっ、シロクマどこ……?」とプンダは辺りを見回します。もちろんシロクマというのはプンダのことで、ほら穴にはシロクマはいません。でもそこにはシロクマの代わりに、1匹のシマウマがいまし
パンダのプンダ、旅に出る その4
第4話「パンダのプンダ、さみしくなる」(全10話)前話|目次|次話
泥んこでパンダの模様を描いたプンダは、もう意気揚々、帰ったら何をしようかと考えています。笹を食べ、笹を食べ、そして笹に囲まれてお昼寝をしても良いかもしれません。プンダは嬉しくなってスキップをしました。
さて、あとはもう帰るだけです。
笹のない世界にはもうおさらばです。なぜなら、プンダはもうパンダに戻れたのですから。兄弟
パンダのプンダ、旅に出る その3
第3話「パンダのプンダ、黒くなる」(全10話)前話|目次|次話
「ねぇキミ、その黒いの、もしかしてボクのぉ?」
傍らに1匹のテントウムシが飛んでいました。赤い羽根に黒い斑点。もしかすると、このテントウムシが黒模様を盗んだ犯人かもしれない、とプンダは思ったのでした。
長い旅路でした。プンダの住処から、森の外の草原まで、およそ1kmです。なまけもののプンダはそんな距離を歩いたこともありません
パンダのプンダ、旅に出る その2
第2話「パンダのプンダ、森を出る」(全10話)前話|目次|次話
さて、森から出ることになったプンダですが、心の中では「いやだなぁ、行きたくないなぁ」とつぶやいてしまいます。しかしプンダの心とは無関係に、長男のピンダは「犯人はどんなやつだろう」と腕組みをしていました。
そうです。プンダはもともとパンダでしたが、目を覚ますとシロクマになっていました。ピンダ、プンダ、ペンダ、ポンダの4人で考えた
パンダのプンダ、旅に出る その1
第1話「パンダのプンダ、シロクマになる」(全10話)
|目次|次話
そのシロクマはもともとパンダでした。
しかしここ数日の雨が過ぎると、黒い模様がきれいに消えてしまったのです。パンダだったそのシロクマは、これといってあわてることもせず、落ち着いてモシャモシャと笹を食べています。
彼の名前はプンダと言います。プンダというのは人間で言うところの「次郎」みたいなものです。彼は四人兄弟の次