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「クロウ・ブレイン」 東一眞 宝島社文庫

初めて読む作者の作品。
世界的な人口増による資源の枯渇がベースとなり、それを憂う研究者たちが起こそうと画策するバイオテロがテーマ。それを、新聞記者である主人公が取材を起点に事件解決にまで導く物語。
ウイルスの媒介をカラスにするところは、面白いと思った。公園で、本作を読んでいるときに、カラスが近寄ってきた時は少しドキッとしたりもした。カラスの種類や脳の特性など、勉強になることも多い。また、テーマも資源の枯渇とタイムリーであり、それを憂うことの犯罪というのはある種リアリティーもある。世界的なテーマであり、ウイルスを作り出す過程は、手が混んでいるが、多少、バイオテロを起こそうとするまでの流れは、それまでのワールドワイドから、ローカライズされたコンパクトな事件な気もした。それだけ、憂い、開発したのであれば、もう少し実行するための方法があったのではないかと。完璧にやるのは難しい、得意不得意があり、何事も一人では出来ない。もちろん、自分の役割を果たしつつ、チームとして大きな一つに仕上げていくことが、大切ということか。主人公も、スクープを狙い全てを自分で!という思いが強く、強くなればなるほど空回っていた。翻ると働く自分にも返ってくることだなと。気をつけなくてはとも思った。


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