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タクシードライバーと仲良くなった

ライター 木下ジャパン
※事実を基にした妄想です。毎日タクシーで出社したい。

今日は金曜日。こんなご時世だから飲みにも行けないし休日の予定も特にない。
週5も働いているのにご褒美だけ没収なんてあまりに無慈悲だ。でも今日は紛れもない金曜日。ちょっとした贅沢をしようと思い立った。でも高級料理を食べに行く余裕も友人も恋人もいないし、今から新幹線をとってプチ旅行に行くのも面倒だし。普段は出来ないちょっとした贅沢…。うーん…。

そうだ、タクシーで帰ろう。

会社から自宅までは急行で1駅。歩いて帰るには遠いが電車だと10分くらいの距離。タクシーだと1200円くらいだろうか。電車に比べたら高い交通費になるが、この時間の電車の込み具合を考えるとタクシーに乗って帰るのは安全だし優越感に浸れるちょうどいいプチ贅沢なんじゃないだろうか。そう考えるとタクシーが自分専用の送迎車みたいに思えてワクワクしてきた。

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心のワクワクを悟られないよう平然を装いながらタクシーを捕まえた。ドライバーも感じの良さそうな人でストレスを感じることもなさそうだ。久々の贅沢に少し気が大きくなっていた私は初めて自分からドライバーに喋りかけてみることにした。

「タクシードライバーになろうと思ったきっかけって何だったんですか?」

我ながら唐突で浅い質問だ。でも今の私の気分は富裕層なので何を聞いても許されるような気がしていた。

『あー、実は私元々陸上自衛官だったんですけど』

想像の斜め上すぎる返答。

『やりがいは十分あったし憧れてた職業なんですけど、やっぱり訓練とか色々キツくて、定年まで働くのは無理だなと思って転職活動をしたのがきっかけですね』

「それで急にタクシードライバー?」

『そうですね、いろんな会社の説明会に行ったりしたんですけど、㎞の人事の福島さんっていう方の雰囲気が他社さんより明るくて、こんな人が働いている会社なら楽しいだろうなと思って入社しちゃいました』

「人事の福島さんすげえ。でもそんな簡単に転職って出来るもんなんですね。いや、色々悩んだりとかはあったと思うんですけど、自分がするってなるとだいぶ勇気いるよなと思って」

『そうですね、いろいろ考えましたけど今楽しいんで転職してよかったと思ってます』

「そっか~かっこいいな~いいな~タクシードライバーか~やっぱ最初って緊張するんすか?」

『め~ちゃめちゃ緊張しますよ、道わかんないところでお客様に手挙げられたときビクッてしてましたもん』

「自衛官もビクッてするんだ」

『しますよ、人間ですから』

「そっか、人間なのか」

『なんだと思われてたんですか?(笑)』

「いや、なんかタクシードライバーっていう人種っていうか、普段あんまり喋らないしドライバーさんの人生とか気にしたことなかったんですけど、そりゃ人間だから色々ありますよね」

『また乗り合わせたら今度はお客様のお話聞かせてくださいね。到着しました、お疲れ様です』

「楽しかったです!ありがとうございました!」

タクシードライバーも人間なんだよな。ドライバーさんはドライバーさんとしてしか見てこなかったけどドライバーさんにはドライバーさんならではの人生があって、ドライバーさんにはドライバーさんならではの人生があって、色々あったうえでドライバーやってんだよな。色々あったうえでドライバーやってんだよな(何回「ドライバー」って言ってんだろ)。

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そう思うといろんな人の話を聞きたくなってきた。コンビニの店員とかに話しかけちゃおうかな。それはきっと世間が許してくれないから、毎週金曜日はタクシーに乗って家まで帰ることにした。

聞いた話をまとめるnoteでも始めようかな。


妄想にお付き合いいただきありがとうございました。 この妄想はコチラの記事を参考に書いています。→自衛隊で学んだ先回りする思考はタクシードライバーになってから役に立つ!?

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