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散歩に出たら高級食材が日向ぼっこしてた 料理編

暑い日が続きますね。そろそろクーラーをガンガンにかけて羽毛布団にくるまりながら寝るようになる時期も近いんじゃないでしょうか。

さて、前回自宅に連れ込んだすっぽんとの同棲生活も一週間と一日が経ちました。泥も抜けた頃でしょう。いよいよお別れの時です。

愛着湧かないようにって名前は付けない方針を示していたのに、一週間のうちにTwitterのフォロワーの間で勝手に「みゆき」という名前がつけられていました。
「スッポン捌く」と言おうものなら「さよなら」「みゆき……」「サイコパス」「虐待反対!」と散々な言われ様です。

それではみゆきの首を落とします。

ずいぶん大人しいですね。さっきまでの強気が嘘のようです。

実は事前に酒で酔わせました。お酒で酔わせておいて無抵抗のところを襲おうという算段です。

捌き方についてはネットで死ぬほど書かれてるのでここでは割愛します。死ぬほど書かれている記事のうち2つくらいを参考に捌きます。

試しに親指を入れてみたら物凄い力で噛まれました。未だにじんじん痛みます。なぜ指を噛ませたのでしょうか?

頚椎がとてつもなく固くて、金槌を使ってやっと落としたことは記録しておきます。首を落としきってない状態で一度首をすぼめられるという凄惨な出来事もありました。軽くトラウマです。
酔わせても強気でした。

首を落とされても身体は元気で、前に歩く身体を時々引き戻して刃を入れます。

甲羅に首としっぽの骨がくっついていて甲羅を剥がすのに難儀しました。ネットの板前さんはとても簡単そうに書いています。神絵師のお絵描き講座のようです。

捌いていて分かったことがあります。みゆきはオスでした。フォロワーにBLカプを組まされていたことがここで判明しました。BLは範囲内なのでOKです。

何時間もかけてやっと捌き切りました。
参考にした記事通りいくはずもなく、膜やら骨やらで記事を書いた人の10倍は時間が掛かったのではないでしょうか。太陽が見える頃に捌き始めたのに、今では月が見えています。言葉どおり月とすっぽんですが、こちらは今肉塊です。
起きてから何も口にしてないのでかなりの空腹を感じています。起きたのは午後なんですけど。

バラしたら下茹でです。まだ生臭いです。「大鍋で2時間茹でる」と書いてあり絶望しました。このままではこっちも空腹の末死んでしまいます。

服の汚れを落としたい時に洗剤をドボドボ入れるのと同じ感覚で酒、生姜をドボドボ入れます。

匂い消しを倍にすれば臭みも倍の速さで抜けるでしょう。1時間弱茹でて濾したら、そのまま鍋をつくります。

鍋ができました。匂いはそんなにありません。不味かったらどうしよう…。という不安は味見で吹っ飛びました。

頭です。肉自体の味はあっさりしてて鳥っぽくて硬めで、いつまでも口の中にいます。ここでも強気です。
とにかく出汁がめちゃめちゃ美味しいです。マジで美味いです。バキュームカーと競えるレベルで吸引できました。多分勝てます。

僕らが普段何気なくやっている、「捕獲→〆る→捌く→食べる」をしっかり実感しました。

泥ぬき一日目で既に「カワイイ〜♡」となっていたすっぽんです。バラされた後の柔らかい手を握りながら、「これが……」って思いになったり、食べてる時も浴槽で呼吸してる姿が脳裏をよぎったりします。みゆき、可愛かったもんな……。

生々しいくらいに「命を頂く」というのを感じました。この感覚は久しぶりです。

ということで、日向ぼっこしていた高級食材をなんとかお腹に収めることが出来ました。


「みゆきってなんだか元カノみたいだな」と思いましたが、元カノが存在しないのでエアプと化して虚しい気持ちです。
ありがとうみゆき。甲羅は部屋に飾ろうかな。

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