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人事制度を改革する

経営コンサル時代に10社ほど構築支援に入り、その後事業会社2社で自社人事制度を改革してきました。いまの会社でも同じようにすすめています。

スタートアップでない限り、すでに回っている制度があるので、ゼロベースでつくりかえるというのは実際にはありえない話で、いまある制度の残すべきところ、変えるべきところを区別していくことが最初の苦労になります。

基本はやはり社員の声だと思っています。評価する立場と評価される立場それぞれに確認していかないといけませんが、そのまえに大枠で仮説を立てていかないと粒の大きさが狂ったり、少数意見を重視したりしてしまいます。
私がよくやるのは全社員アンケートです。いまの会社に愛着がもてるところともてないところを仮説に基づいた設問で評点してもらい、さらにフリーコメントも記入してもらいます
これで仮説検証を行い、ざっくり論点にもっていきます。

次に、PEST分析と経営者の考えをヒアリング。人事制度改革をしなければいけないのは、経営環境の変化や働く人の意識の変化にあっていないからであり、制度が形骸化しているわけなので、そこを社員に説明しないと新制度への納得感が得られません。

こうして現状制度の問題点を社員の声を中心にまとめて課題化する一方、経営環境の変化から新しく取り組むべき課題も抽出して、融合化します。これを「新人事制度の基本方針」としてまとめあげます。この基本方針がないと、あとあと「なんでここはこう変えたのか!」「いままでうまく回っていたのに、なんで変えるんだ!」という不満(必ず出てきます)に答えることができなくなってしまいます。

人事制度改革は「考え方」が重要です。

以上のような流れをザックリ図示すると以下です。

基本方針のフレームワークは私は実務的にこんな形でまとめています。

特に大事なのは制度移行の考えです。
直前までの評価はどうしてくれるんだ、いままで積み上げた旧制度での評価はナシになるのか、新制度だと給与下がるので辞める!等々非常に難しい問題が発生してきます。

ここはパターンも教科書もないですが、労使でしっかり話しあうしかありません。しかし人事の腕のみせどころになるところでもあります。

私もどの制度改革もやっているときは本当にやつれましたが、それでもうまく回り始めだして「前よりもよくなった、ありがとう」という声が聞かれ始めると、苦労が一気に吹き飛びます。

すごく大変だけど、かかわる人事マンは、みんなが少しでも笑顔になってほしい、みんなの頑張りが報われてやりがいを感じてほしい、そんな気持ちですすめているんだと思います。