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【考察】不動産屋は、どれほど儲けているのか。

こんにちは、不動産マニアです。

さて、かなり生々しい話題ですが、
私自身、「職業は不動産屋です」と言うと、
派手な業界だね~
めちゃくちゃ儲けてるんでしょ~?

と言われることが多々あります。

今読んでくださっているあなたは、
不動産業界と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか。
結構、遠からずな印象なのではないでしょうか。

なかなか業界の裏側を話せる機会も無いですし、
過去に不動産屋にお世話になったことがある方は、
「不動産屋の手数料って、どうしてあんなに高いの!?」
と感じた方も多いと思います。

そこで、今日は私の会社の話ではなく、不動産マニアの立場から、
不動産屋の裏事情をご紹介したいと思います。

不動産屋は儲かるのか

いきなり結論ですが、
不動産屋は、世間のイメージほど儲からない
と感じています(笑)

不動産業界では
千三つ(せんみつ)
という言葉がよく使われます。
これは、1000件の物件があっても、
そのうち成約するのは3件程度、
という意味です。

一見、ずいぶん極端な例えにも聞こえますが、
高額な不動産を扱っている不動産屋ほど、
取り組みも慎重にならざるを得ませんので、
この例えはあながち間違っていないと思います。

これは、見方を変えると、
1000件中997件は、タダ働きしている
とも言えます。

良い情報を引き出すために広告費を拠出して、
何度も何度も顧客のもとを訪問して、
それでも破談になって何も生まれなかった
という997件が、成約の裏に隠れています。

成約時の仲介手数料
"土地ころがし"のような、転売利益
が、他業種に比べて金額のケタが大きいだけに、
さぞ大儲けしているだろうと感じてしまいますが、

3件成就させるために隠れた997件の活動費も
ここから捻出されると考えると、
そこまで「丸儲け」は出来ていないのです。

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不動産屋の原価を考える

不動産屋と一口に言っても、
売買の仲介/買取
賃貸の仲介/管理
などなど、色々な分野の会社があります。

そして、どの分野においても、
手数料の上限等が、法律で厳しく定められているほか、
不動産屋はコンビニの数より多いと言われているほど、
競合の多い業界でもありますので、競争原理が働いて、
売上が"青天井"になるようなことはまずありません。

例えば、3,000万円の不動産を売買仲介した場合、
手数料売上は、通常100万位の計算になります。

一方、成約1件の原価(経費)を考えると、
・集客のための広告費:1万円
・顧客相談対応の人件費:6万円
 (時給4,000円(社保等含む)×3時間×5回)
・物件案内時の人件費+車、タクシー代:2万円
・契約書類作成の人件費:2万円
・契約案内、アフターフォローの人件費:3万円
少なく見積もっても、
ここまでで14万円になってしまいました。

これに、事務所家賃や備品代、
事務社員や管理職の人件費といった固定費も考えると、
1件あたり20~30万円程度が損益分岐点
だと考えています(あくまで私の個人的見解です)。

そして、先述した
"成約しなかった案件"の経費も
成約した売上から賄うと考えると、
損益分岐点は更に高くなってしまいます。

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まとめ

これで、不動産屋が
どれくらい儲けているのか(いないのか)
の一部をご覧頂けたと思います。

昭和~平成バブル期など、
地価がどんどん高騰し、
夢と希望に溢れていた時代は、
おそらく「濡れ手に粟」にように
積み上げられた不動産屋も
少なくありませんでした。

しかし、今は少子高齢化も進行し、
不動産需要はそこまで旺盛ではなくなり、
その一方で業界内の競争が激しいゆえに、
"ボロ儲け"できる環境ではなくなっています。

私自身も、プライベートの引越や不動産購入で、
知り合いや近所の不動産屋に依頼したことがありますが、
契約後に請求される手数料を見る度に、
「げっ、高いな~」
と、反射的に感じてしまいます(笑)

でも、見えないところでかかっている経費を考えると、
「確かに全面的にサポートを全うして貰えたしな」
と納得できるとともに、感謝の意も込めて
気持ちよく手数料を払えるようになりました(笑)

みなさんも、いつか不動産屋を利用する際には、
そんな観点から不動産屋を見てみると新鮮だと思います。


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