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私たちはヨーロッパで何をしているのか

最近私はなんでもしている、と思う。なんでもするというのは、最近は歯ブラシで歯を演奏したり、「このナイフ(本物)で俺を脅して」と即興で無茶振りされたり、誰かに何か頼まれたら難しく考えずにやることが普通になってきており、何か大切なものを顧みることを放棄しながら進んでいる気がするのである。

「ユカリのいいところはそういうの全部actしないで無表情でやってくれるところ、日本にそういう伝統芸能あるよね、ノーってやつ、ペルソナをつけるやつ」。…ありがとう、関係あるかな…。

しかし、もちろん私が自分で曲を選んで弾ける際には自分の「やりたい」を大事にするようにしている。年末年始に、東京と名古屋で二公演行う「Klangkücheパーカッションデュオコンサート」では、私と相方増井彩さんの食指が動く曲たちを集めたのである。ごくん。

しかし、多分このコンサートのチラシを見て「ああー!あの人のあの曲ね!ハイハイ!」とはならないであろう選曲なのである。しかし、サーハンは私のパフォーマンスを見た教授が笑い過ぎて椅子から落ちたり(ひどい)、マリーノはなりきりTV・ラジオショーのごとく喋り散らしたりと、面白いのである。私も最初にこれらの曲を舞台で見たときは笑い転げ、周りもドッカンドッカンしていた。

ここではそんなイメージしにくい曲たちを一品一品解説していきたい。こちらがコンサートのチラシである。

一瞬、このラインナップで「パーカッションデュオコンサート」を名乗るのは間違ったかと思ったが、一応全部打楽器を使っているのである。まず曲の説明に入る前に、私と増井彩さんが今何を勉強しているのか軽くお話しさせて頂いたい。それによって今回のコンサートの傾向が掴めるであろう。

私、八木はドイツはケルンにて現代音楽科に在籍しており、ドイツ現代音楽の聖地といわれるケルンにまつわる名曲を中心に学んだり、ケルンの位置するNWR州または近辺で行われる室内オーケストラ編成の演奏に飛び乗ったり、最近では演奏以外のパフォーマンスや、即興を伴う作品に関わったりしている。

マリンバをやたら弾いていたころの私を知っている人は、まず私が打楽器を弾いていることに驚く。打楽器弾けるんですね!って言われるけど、出身は国立音楽大学打楽器専攻で、その後フランスに留学して打楽器専攻とマリンバ専攻を同時に始めたのがマリンバに専念したきっかけである。実は打楽器が下手くそすぎて、チューリッヒでマリンバマスターしながら、体の使い方について学んだり、太鼓の基礎を一から直していたのが今とても効いているので、打楽器弾けるんですね!という疑問は全然間違いではない。

増井さんはスイスのルツェルンの現代音楽科を修了し、アートパフォーマンス科という実態がよくわかりづらい科に在籍している。それは一体なにをやるところなのと聞いたら、「うーん、音楽を演奏すること以外にも、アートの他のジャンルをパフォーマンスに取り入れたり、照明や舞台の使い方とか総合的な演出を学んだり、音楽とアートに関して自分がリサーチしたいことに集中できる、なんでもあり。だから自分の興味に合わせて外部から音楽家に限らず講師も呼べる。」と言っていた。

それならきっと、自分のオリジナル作品を創作しても良いだろうし、既存の作品をやるなら、例えばキュレーター視点を持ちながら演奏のみならず演出込みで作品を発表する感じかな?演奏家としてそれが学べるのはかなり面白そうである。

そう、このコンサートはいわゆる打楽器奏者+αを学んで活動をする二人が繰り広げる、とにかく動いて喋り倒して弾き続ける、とても元気なコンサートなのである。「Klang」はドイツ語で音, 響き; 音色; ニュアンス、「Kuche」はキッチン, 台所。それをドイツ語らしく一単語につなげて「Klangküche」となった。間違ったドイツ語にするの恥ずかしーと思ったので一応検索かけたら、ネイティブの方がされてる同名のグループがあったので多分大丈夫…ドキドキ…。

以外と長くなってしまったので、楽曲紹介は次に繰り越してこの記事を締めたい。またすぐに!


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