これからカスタマーサクセスに携わる方へ 〜よくいただく質問をまとめました〜
こんにちは、freeeでカスタマーサクセスをしている小畑(@k0suke)です。
この記事はカスタマーサクセス入門者の方向けに、私がビザスクなどでよくいただく質問を紹介します。
これからカスタマーサクセスチームを立ち上げる方、サクセス領域での新規事業を検討中の方はぜひご覧ください。最後に、おすすめの他の情報源を紹介します。
質問0、逆質問「今、あなたの会社がサクセスチームにもっとも期待していることは何ですか?」
いきなり脱線しますが、いつも質問いただく前に逆質問をしています。
それがこの質問です。
SaaS企業の場合、会社のフェーズによってフォーカスすべき指標が変化していきます。
・ユーザー数
・Gross ARR
・単価(ARPU:Average Revenue Per User)
・Net ARR/Net Retention
・生産性
これに沿って、当然サクセスチームへの期待、ミッションも変わるはず。アップセル/クロスセルなのか、Churnなのか、サクセスの生産性をあげてほしいのか・・・しっかり経営側と目線を合わせてサクセスチームのミッションを決めましょう。
質問1、改めてカスタマーサクセスって何ですか?
回答:2つの意味があります。
①概念としてのカスタマーサクセス
②業務としてのカスタマーサクセス
概念としてのカスタマーサクセスは「お客さんがあなたの会社の商品を通して実現したいことを叶えていくプロセス」
業務としてのカスタマーサクセスは「既存顧客からのARRを最大化するためのアクション」
私はこう定義しています。
②はタッチ方法ごとに具体例を話します。
ハイタッチ
・Kick off MTG/定例会
・個別の導入支援/活用方法のレクチャー
ロータッチ
・ワークショップ
・コミュニティ
・チャットツール上でのコンタクト
テックタッチ
・Welcomeメール
・活用度に応じた情報提供
・ガイドブック/マニュアル
・試験/テスト/資格制度
その他
・クロスセル/アップセルの商談
・プロダクト開発貢献
質問2、CSのKPIは?
これは質問0の回答に合わせて設定すべきですが、一般的な回答は下記です。
・既存顧客からのアップセル/クロスセル
・※1 Churn/継続率(Revenueベース or Customerベース)
・※2 NPS/活用状況/ヘルススコア
※1:Churnは遅行指標です。Churnを直接CSMが追いかけるのはオススメしません。顧客が契約を更新するか判断するのは契約更新時ではなく、その半年前です。Churnに強く相関するであろう数字を定義して、それを中間KPIとして追いかけましょう。私は、Churnと相関する数字で”onboardingが成功したかどうか”を定義し、onboarding成功率/数をKPIにしていました。
※2:NPSはボラティリティが大きいです。また、顧客セグメントごとにNPSを分けるとN数が足りず、分けないと意味のあるデータにならないという難しさがあります。NPSに強く相関するであろう数字を定義し、それを追いかけましょう。freeeでは、NPSに相関するであろうコア機能の利用状況を追いかけたりしていました。
質問3、どんな組織に体制なっているか?
下記の記事に具体的なサクセス組織の形もあるので、参考に。
回答:ポイントは質問0に戻りますが、サクセスのミッションが①売上 or ②Churn/活用度、どちらの比重が高いかによって変わっていきます。
売上の比重が高ければ、営業マネージャーの下にセールスとサクセスがぶらさがる営業型(または縦型)のチームになります。そこからChurnの比重が高くなっていくに従い、純粋なマネージャー of CSMが組織を率いる独立型(横型)のチームになります。
質問4、カスタマーサクセスの課題は?
回答:
①組織/人の課題
②経営/事業の課題
の2つがあります。
①の代表例
・KPIが多いとハイスキルセットな人材が求められる。
KPIが多いと「営業できて、プロダクト知識も、プロジェクトマネジメントができて、顧客を時に励まし、時に叱咤し、それでも信頼させるコミュ力をもった人」が必要になってしまいます。生産性を上げるフェーズになると、ロータッチ、テックタッチ、コミュニティと戦場が変わるのでマーケティングの素養も。。。人材の確保が大変です。
これを解消するには、組織が拡大するのに合わせて、Job型に移行した上で、一人当たりのKPIを少なくするのがおすすめです。例えば、onboardingだけ専任チームにするなど。
②の代表例
・投資しづらい。
Churnは遅行指標です。(2回目)そのため、どの施策がどれくらいChurnに効いたか、わかりづらいという課題があります。また、あなたの会社や担当者、製品への愛着度(心理ロイヤリティ)が継続率に大きく影響するわけですが、これを定量で表現することは難しいです。
データベース整備、ジャーニーマップの進化などを徐々に進めるのがいいですが、何より”トップがカスタマーサクセスにコミットすること”が大事です。経営者のコミットの有無によってサクセス組織の進歩は、馬とスポーツカーくらい違います。
他にも課題は山盛りですが、またの機会で紹介します。
最後に おすすめ情報源
私の以前のツイートで紹介します。(3連チャン)
とてもタメになるので、私も四半期が変わるたびに読み直します。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました!!!
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副業でカスタマーサクセスのコンサルティングやアドバイス、OKRの導入アドバイス、freeeの運用設計支援などをおこなっています。
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