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「子持ち様の文句」の先にある世界について考えてみよう

「子持ち様」という言葉が話題です。

職場では、育児を理由に時短勤務や急な欠勤。
街中では狭い道をベビーカーでふさぐなど「子どもがいるから許される」という態度で他人に迷惑をかける親に向けた皮肉の意味だと理解しています。

本日は「子持ち様」である私が最近最もイライラしていることへの文句を書きたいと思います。
そしてその文句の"先"にある世界についても考えてみましたので、また子持ち様がなんか文句言ってるな〜と思う方もぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。


子持ち様(私)の文句

最近私が毎日イライラしているのが、マンションや公共施設でよく見る駐輪場のラックです。
正式名称は、サイクルラック。

(※YKKAP様の製品とは限りません。あくまでもイメージとして拝借しました)

私は1歳(9kg)の次女を前に乗せ、3歳(13kg)の長女を後ろに乗せて電動チャリ(約30kg)で保育園への送迎を行っています。

こんな感じの3人乗りです

次女がまだ歩けないため、帰宅後は次女を前に乗せたまま電動チャリをマンションのサイクルラックに乗せます。

次女9kg+電動チャリ30kgでほとんど自分の体重とおなじものを持ち上げるとき、ラックのこの数cmの段差がアホほど高く感じます。

その高さ、山の如し

更に更に。
この台、前輪を乗せたタイミングで勝手に動きはじめるんですよね。自我があるんですかね(ありません)
なので、後輪が中々乗りません。

驚くほどスムーズに平行移動してくれるゆえに、その動きに後輪がついていけない

極めつけは、この無数に張り巡らされた針金のせいで鍵が中々締まらないのが本当にイライラします。

赤矢印の方向にロックをかけたいが、黄色矢印の針金が邪魔でつっかえる。ラックとタイヤが接地してるため、チャリをもちあげないとタイヤの位置が変えられない…

雨の日なんかは、タイヤが滑って全然うまくいきません。
サイクルラックに収めようと四苦八苦してるときに、せっかくレインカバーで必死に雨水から守ってきた長女は自ら屋根のある駐輪場から飛び出してびしょ濡れになってるし

もう、そんな日の私はこんな感じ↓

あーーーーーーー!(イライラMAX)ってなってる私の様子
 (映画「ショーシャンクの空に」より)

理想の解決方法

あまりにもサイクルラックが憎すぎて夢にまで出てきた私は、何かもっといいものないかな〜と思って探してみました。
そして出会ったのです。サイクルラックの超上位互換に。

それがこちらです。

え、カッコよすぎん???
これはもう、ベビーカーなのに階段しかなくて絶望してるときに「運びましょうか?」って声をかけてきてくれる若者ばりに惚れてまうやつですね。

「子持ち様の文句」の先にある世界について考えてみよう

しかしこの機械式駐輪場、調べたところ導入費用は通常のサイクルラックと比較して数十倍〜百倍はかかるそうです。
ですのでおそらく、一般的なマンションに導入されるのは中々厳しいのでしょう(残念…)。

しかし例えば、子育て支援に注力しているどこかの市が電動チャリで毎日滝汗をかいている親を救おうと、マンションデベロッパーに機械式駐輪場設置費用の補助金を出し、市中のマンションで機械式駐輪場がスタンダードになったとします。
さて、助かるのは、「子持ち様」だけなのでしょうか。

ここで、「子持ち様の文句」の先にある世界について考えてみたいと思います。

子持ち様は令和のいま、世帯数的には実は「マイノリティ」です。

そんなマイノリティの「文句=困りごと」に、世間は少々優しすぎない?(マジョリティだって困ってるのに!)という苛立ちの声が上がるのも仕方がないのかもしれません。
しかし、それがどんなマイノリティであっても、誰かの「困りごと」を解消するために産まれたサービスは、意外と他の人にとっても役立つものになり得ます。

かつて、日本の駅にはエレベーターがありませんでした。
設置のきっかけとなったのは、障がい者や高齢者です。
90年代以降に障がい者や高齢者の社会参加の促進が進み、施設や公共交通のバリアフリー化が重要視されるようになりました。
人口の中でマイノリティである障がい者や高齢者(高齢者は、今はもうマイノリティではないけれど)の「困りごと」から設置された駅のエレベーター。
いま、使っているのは障がい者や高齢者だけではありません。
スーツケースを持つ旅行者、残業つづきで階段をのぼる元気のないサラリーマン、高いヒールで歩き疲れた女性なんかにとっても、ありがたい存在のはずです。

子持ち様のための時短勤務制度は親の介護や副業で他に時間を割きたい人も使える快適な制度になるべきだし、機械式駐車場のあのYoutubeを見て「かっけええええ!便利すぎんだろおおお!」とテンションが上がる人は子持ち様だけではないはず。

マイノリティの「子持ち様の文句」に取り組んだ先にある世界は、「独身貴族」や「子なし貴族」にとっても悪くない世界なのかもしれません。

まとめ

もちろん子持ち様向けの制度やサービスが、その他の方の役に立つ形になるまでには多少のタイムラグがあります。
その間は、間違いなくご迷惑をおかけします。
子持ち様としては、もちろん職場や街中で他の人に迷惑をかけたときには「ごめんなさい、ありがとう」と誠心誠意伝えなければいけません。

しかし、そのあとに返ってくるのがタメ息ではなく、
「いいよいいよ、私たち(俺たち)にとっても未来への投資だからさ」。
そんなあたたかい言葉であればいいなと思いながら、私は今日も電動チャリでせっせと保育園へ向います。


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