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マンション前の幼稚園バスを見て思う。なぜ私は「あちら側」じゃないんだろう?

次女の夜泣きで、残業が中断された。
長女がおねしょして持って帰ってきたシーツを、洗い忘れていた。
夫がまた、洗面所をびしょびしょにしたまま出社した。

やることがありすぎて、くちゃくちゃの頭で重い電動自転車を保育園まで爆走させる。
すると、いつも通りがかる大きなマンションの前に幼稚園バスが停まっていた。
可愛らしい制服を着た子供たちを見送ったお母さん達が談笑している。赤ちゃんを背負っている人もいる。

その様子を見て私は思う。
なぜ私は、「あちら側」の人生を選ばなかったのだろう。


はじめに

私は、専業主婦(夫)の方やパート勤めの方を「楽でいいよな」と思ったことも、馬鹿にしたこともありません。
専業主婦の友人の中には、転勤族の夫に帯同して仕事を辞めざるをえなかったり、介護など他の役割があるためにフルタイムで働けない方もいます。
何より「子育て」や「家庭」に自分のリソースを振り切る決意は、外で働き続けることと同じくらい勇気と労力が必要なことだと思っています。

それでも、隣の芝生は青い。
子供と長く過ごせていいな。
仕事の納期やクレームに悩まなくていいのは羨ましいな、と思うことは正直あります。

私が家庭の外で働くことを選んだ原点

例えば私がいまの仕事を辞めて専業主婦になったとして、困ることは無い気がします。
貯金と夫の収入だけでも、人並みの暮らしはできるはず。

そんな私が、家庭の外で働き続けることを選んだ原点は小学生時代に出会った一冊の本でした。

銀行にお金があり、
財布にお金があり、
家のどこかに小銭があれば、
あなたは最も裕福な 8 人の中にいます。

車を持っているなら、
あなたは最も裕福な 7 人の中にいます。

村人のうち、
大学教育を受けているのは 1 人です。
コンピューターを持っているのは 2 人です。
14人は読み書きができません。

「世界がもし100人の村だったら」池田香代子、他より引用

当時私の実家は、桃太郎電鉄のゲームで小銭を賭けて家族みんなで遊んでいました。
そしてリビングにはWindows95のパソコンがあり、両親は私と姉が大学にいくための貯金をしていました。
そうか、私っていま世界で最も恵まれた1%なのかと気付いたのはこのときでした。

特に何の努力もせずのほほんとしていた小学生時代。
それなのに、生まれた場所と環境のおかげですでに上位1%。
ただのラッキーで上位1%に入っている私は、他の99%の人のために働くべきじゃない?と小学生ながらに生意気にも思ったことを覚えています。

この本との出会いが、私が外で働き続けることを選ぶ原点になりました。

心の支えは「セーラージュピター」がくれた言葉

とは言え、心が折れそうなことは沢山あります。
就職のときも、転職のときも、子供を産んでから復職するときも、「働きつづける」ことに迷いはありました。

新卒で総合職で入社したときは、一般職の同期社員を見て。
転職でキャリアアップしたときは、ワークライフバランス重視の別の選択肢を見て。
そして産後は、幼稚園バスを見送るママ達を見て。

別の選択肢を見て、どうして「あちら側」を選ばないのだろう?といつも感じていました。

そんなときに心の支えにしているのが、同じく小学生時代に出会ったこの言葉です。

この道より我を生かす道なし。この道を歩く

武者小路実篤

小学生やのに渋すぎるやろ!と思ったそこのあなた。
驚くことなかれ。私がこの言葉と出会ったのはセーラームーンのアニメです。

当時まこちゃん(セーラージュピター)推しだった私。
とある敵に敗れたのをきっかけに修行のため山籠りをするまこちゃんが、同じく修行中のイケメンのお坊さんに出会います。
セーラー戦士としての生き様に迷うまこちゃんに、「俺も悩むとき、あるよ」と微笑むイケメン坊(イケメン坊って)。
人生の道に悩むときに口にする良いと言って、彼がまこちゃんに授けたのがこの言葉なのです。
※全体的に記憶が曖昧ですが、確かそんな話だったはず

迷うことがあっても、それが正解だと信じてひたすら一心にその道を進むことが人生において最も大切。

隣の芝生がハイパーブルーに見えて、「あちら側」に行かなかった自分を後悔するときはいつもこの言葉を思い出します。

…それにしても、武者小路実篤の名言を幼児向けアニメにぶち込んでくるセーラームーン、凄すぎん?😑

まとめ

専業主婦を選ばざるを得ない人もいれば、どんなに辛くても外で働き続けなければいけない環境にいる人もいます。
そもそも私には「あちら側」にいくことを迷える選択肢があることが贅沢です。

しかし、選択肢があるからこそ迷って心が疲れることもあります。
そんなときは、昔に読んだ絵本を思い出しながら、武者小路実篤を絶叫して電動チャリをぶっ飛ばします。

私の生き方の「原点」、そして迷ったときの「心の支え」が、どなたかのお役に立てれば幸いです。

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