見出し画像

【中小企業診断士】【事例Ⅰ】令和4年度第2次試験の再現答案、資格試験当日の思考プロセス

1次試験543点(得点率78%かつ全科目60%超)2次試験285点(得点率71%かつ全科目60%超)と運良く高得点合格(独学)、かつ、大企業の経営企画担当の立場から、中小企業診断士試験について記載します。少しでも中小企業診断士について、理解が深まれば幸いです。

令和4年度事例Ⅰ再現答案

事例1の得点開示は69点、予備校の採点サービスではLEC、EBAともにA評価(60点以上)でした。
特別高得点という訳でもありませんので、解答解説にはなっておりません。合格者もこんなレベルかと確認いただき、自信をつけてください。
実際の問題はこちら
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2022/a2ji2022.pdf

第1問

○問い
 A社が株式会社化(法人化)する以前において、同社の強みと弱みを100字以内で分析せよ。

○再現答案
 強みは、農業経験が豊富な従業員による新たな品種の開発力と高品質な農作物、有機JASとJGAP の認証、弱みは、従業員の役割分担がない事による受給調整の問題、新規就農者の確保が難しく 定着率も悪い事での人材不足である。

○当日の思考
・「株式会社化する以前」という時制に注意。また、わざわざ時制を限定しているため、株式会社化がA社の大きな転換期になったのではないか。
 →株式会社化前に強みであり、現在課題となっている「農業経験が豊富な従業員による新たな品種の開発力」を書こう
・第2問の課題である新規就農者の獲得関連が弱みではないか。第3問以降は株式会社後の設問なので、第2問関連の課題を優先的に弱みとして書こう。
 →第2問の課題として、「従業員の役割分担がない事による受給調整の問題、新規就農者の確保が難しく 定着率も悪い事での人材不足」を記載
 →強みをもう1点入れたい。第2問に活用できそうな「高品質な農作物、有機JASとJGAP の認証」を強みとして追加しよう。

○今思えばの反省
 「高品質な農作物、有機JASとJGAP の認証」は第2問に結局使わなかった。「高品質な農作物の認知度」が新規就農者の獲得に役立つかも。80分で全設問の整合性をとるのは難しい。。。

第2問

○問い
 A社が新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策について、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。

○再現答案
 施策は①人に優しく、環境にやさしい農業のコンセプトをアピールしたインターンシップによる農業大学校からの採用強化②働きやすい勤務制度導入と地域の農業関係者との交流会実施により、 帰属意識の高い従業員の確保である。

○当日の思考
・獲得と定着に分けて考える。強みを活用して課題を解決する。
・与件文から、定着が悪い←帰属意識が高い従業員の確保が困難←①地域の農業関係者に溶け込めない②不規則な勤務で大変という因果関係と感じた。
→それぞれの課題を解決する施策を記載しよう。
・帰属意識という事なので企業理念のようなものはないかと読み返し、「人に優しく、環境にやさしい農業というコンセプト」を発見。

○今思えばの反省
 獲得施策が弱かったか。高品質な商品の知名度の活用など強みを入れる必要があった。定着という文言が抜けており、意図が伝わったか不安。

第3問

○問い
 A 社は大手中食業者とどのような取引関係を築いていくべきか、中小企業診断士 として 100 字以内で助言せよ。

○再現答案
 厳しい要求を受けるだけの一方的な関係をやめ、双方向の交流により、協働で新たな品種生産を行う等パートナー関係を構築。一方で、取引で得た対応能力の活用と営業力強化により、新規取引先を開拓し、取引先への依存度を低下する。

○当日の思考
・安定的な収益をもたらしている大手企業とは、下請け関係からの脱出・関係性強化(中小企業白書の知識)
・株式会社化後に失いつつある「農業経験が豊富な従業員による新たな品種の開発力」を同時に解決しよう。
・まだ文字数にあまりもあるし、依存度増加の課題も解決しよう。A社の強みを活用して、新規取引先を開拓させる。新たな品種の開発を新規取引先の開拓にも活用したいが、大手との共同開発した品種だから無理かな。。。

○今思えばの反省
 文字数が余ったから入れただけの営業力強化はあまりにも唐突で不要だった。

第4問 設問1

○問い
 A 社は今後の事業展開にあたり、どのような組織構造を構築すべきか、中小企 業診断士として 50 字以内で助言せよ。

○再現答案
 従業員の兼任を解消し事業別組織とする。事業別に顧客ニーズを把握する力を高め、意思決定を迅速化する。

○当日の思考
・A社の弱みである従業員の役割分担の未整理を解消しよう。→従業員の兼務を解消
・直近に強みになりかかっている顧客ニーズを活かした若手従業員の提案を行いやすい環境を整備しよう。
・事業部別組織の最大のメリットである意思決定迅速化もつめこめ。

○今思えばの反省
 兼任の解消だけでは、役割分担の未整理解消が目的だと読めない。素直に役割分担の明確化だったか。若手従業員の提案を活かすのであれば意思決定迅速化よりも権限移譲だった。そもそも小規模なA社に事業部別組織を提案することもなさそう。この設問はほとんど点になっていないのでは。。。

第4問 設問2

○問い
 現経営者は、今後 5 年程度の期間で、後継者を中心とした組織体制にすることを 検討している。その際、どのように権限委譲や人員配置を行っていくべきか、中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。

○再現答案
 後継者を直営店事業の責任者とし、マネジメント経験を与え、後継者の成長に合わせて徐々に、 食品加工の分野等に権限を広げる。定期的な人事異動により、全従業員と後継者が双方向の交流を行い関係性を強化するように配置する。

○当日の思考
・試験委員の論文そのまま!!(タイトル:ファミリービジネスの事業承継と継承者の能動的行動)
→文字数制限から優先順位付けが必要
・5年程度という期間に注意。後継者の成長に合わせて徐々に権限移譲しよう。
・人員配置は、no.2の育成か、全従業員からの信頼獲得か。。。

○今思えばの反省
 権限を徐々に拡大する対象として、食品加工分野等よりも、中心事業である農業と記載した方が良かった。経営者と常務2人の業務を後継者1人で受け継ぐのは無理だ。No.2の育成が必要だったか。。。人事異動の文書がわかりづらい。
 試験委員の論文に引っ張られ過ぎたか。。。

まとめ

事例Ⅰは、企業間関係や事業承継等の大企業の日常業務では考えが及ばない部分が重要な要素となります。多くの方が1次試験でも力を入れて学習するポイントでもないと思います。試験委員の関連論文をいくつか読み、頭を切り替えることがおすすめです。事業承継は「落合康裕 論文」で検索!

今思えば(冷静に時間をかければ)、より良い解答が出来ると思います。ぜひ皆さまも80分の制限時間を守って、取り組んでみてください。
繰り返しですが、解答解説のレベルまで至っておりませんので、ご了承ください。

乱雑かつお恥ずかしい内容ですが、私自身の口述試験用に図解しました。既存事業の強みと外部環境の変化を捉えて、新規事業を行うということは全事例共通ですね。

よろしければサポートをお願いします。励みになります!