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世界一やさしいチョコレートandewの今までとこれから。

(最終更新) 2023年8月14日


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以下は、2020年9月9日時点での内容を含みます。
2023年現在、andew代表の中村は、医師国家試験に合格し、医師としてのスタートを切っております。

僕と皮膚難病との出会い。

僕は、北海道大学医学部の現役医学生です。日々、患者さんや病気と向き合う日々を送っています。

そんな生活の中で、表皮水疱症という皮膚難病と出会いました。この病気は生まれつき皮膚が弱いためぼろぼろとめくれてしまい、強い痛みを伴う病気です。
口の中も大きく荒れてしまうため、ポテトチップスを食べるとトゲのついた板を食べているくらい痛いと表現されます。
また、大きく食べるものが制限されるため、患者さんはしばしば低身長、低体重になります。

そんな病気の患者さんのために何かできないか。

その想いで開発したのが、andewでした。

開発を開始したのは、2019年の2月。
当時は、チョコレートにすらたどりついていませんでした。
カレー、コーンスープ、たい焼き、コロッケなど。
とにかくいろんな食材を試しました。

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ひとりぐらしの家で、いろんな食材を試した。

患者さんでも食べやすく、栄養があり、かつおいしいもの。
この3つの要素を満たす食品を開発するのは、非常に困難なことでした。
数々の試行錯誤を経て、たどり着いたのが、チョコレートでした。

これならいける。
もはや直感に近いものがありました。

しかし、中村自身はチョコレートを作ったことがありません。
近くの製菓材料店で材料と道具を一式揃え、自室でひとり開発に着手しました。
ただ、やはり素人の手では限界を迎えたため、札幌唯一のBean to Bar 専門店であるSATURDAYS CHOCOLATEさんにご連絡をし、快く一緒に開発することを受け入れてくださいました。

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当時、商品開発を担ってくださったSATURDAYSのみなさま

しかし、プロの手をもってしても、andewの開発はかなり難航しました。
原材料を入れるタイミングや、温度、順番など様々な要素が絡み合うチョコレート作りは非常に難しかったです。

最初の試作品は、手に載せただけですぐに溶け始め、味も非常に苦かったことを覚えています。
そこから、配合や原材料などを絶妙に変えることにより、今のandewが完成しました。

SATURDAYS CHOCOLATEさんのご協力なくては今のandewは確実にありません。
本当にありがとうございました。

完成したandewを手に、きっかけとなった皮膚難病の表皮水疱症の患者会に参加し、実際に患者さんに食べてもらいました。
一番嬉しかったのは、2歳くらいの男の子が、お母さんの「おいしい?」という言葉にちいさくうなずいてくれたこと。

さらに、病気を持っていても、持っていなくても同じものを一緒に食べるという空間がそこにできていたことは本当に嬉しかったです。

人と人がandewを通して繋がっていると感じた瞬間でした。

2020年5月に販売を開始。
今年5月から公式オンラインショップで正式に販売を開始しました。
当初は売り上げが上がるか、本当に不安でしたが、なんと100枚が30分で完売。
すごく大きな反響をいただきました。

『母親がパーキンソン病でなかなか食べることができなくて困っていた。喜んで食べていたよ!」

『食べ物が食べづらくなってきたおじいちゃんと一緒に食べます!』

このように、僕からユーザーさんへ、そしてユーザーさんから次のユーザーさんへとどんどん輪が広がっていく光景は本当にうれしかったです。

さらに、自分のためではなく、食べることが難しくなったおじいちゃんのため、母親のためなど、誰かを想う方からのご購入がたくさんあったことも本当に嬉しかったです。

僕たちは、自分たちが実現したい世界の表現方法の一つとしてチョコレートを販売しています。
しかし、そのチョコレートには、病気を超えて人々が繋がっていく世界を創りたいという僕たちの大きな想いが込められています。

その想いがまっすぐユーザーさんに届き、さらに個々のユーザーさんの想いも加わり、どんどん広がっていって欲しい。
そう願っています。

病院の外、社会の端。

ここまで、andewのストーリーを書きました。

僕がなぜ患者さんと周囲の人々や、社会との繋がりを重視するのか。
それは僕自身の経験にあります。
実は僕自身、ファロー四徴症という先天性の心臓難病を患っています。生まれたときから病院通いでした。
しかし、僕の場合、手術により幸い根治。
高校時代は甲子園を目指して野球に打ち込んだりと、何不自由なく生活しています。
小学校のときも、中学校のときも、高校のときも、周りの人々は僕が病気をもっているなんて気づかなかったでしょう。

病気をもっていても、生きやすい世の中を作ることは治療と並んで、同じくらい重要なことなのではないだろうか。
そう思っています。

この経験から、病院の外でのケアについて深く考えるようになりました。

日本の医療は、国民皆保険という制度のもと、質やアクセスともに非常に高水準です。
しかし、ひとたび病院の外に出ると、まだまだケアが行き届いていない現状があります。
一番病気のことを知っている医療者の1番の仕事は治療。
社会を変える製品を作る土台をもっている企業は病気に関して深い理解があるわけではない。

この両者の溝を埋める人材になることで社会はよりよくなっていくのではないか。
そう感じつつあります。

最近は、医師や看護師で起業をし、ヘルスケア領域に新しい風を吹き込む事例が増えてきました。

病院の外。社会の端。

人口減少、超高齢化社会を迎える今だからこそ、今まで見過ごされてきたこの領域に新しいプレーヤーが増えて、共に切磋琢磨できたらうれしいなと思います。

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中村のおすすめ、きなこタブレット

社会にムーブメントを起こそう。

僕はandewを通して世の中のみなさんに、食べ物がうまく食べられなくて困っている人ってこんなにいるんだ、こんな病気があるんだ、医療の問題点ってこんなところにあるんだなど、たくさんのことを知るきっかけになってくれたらと願っています。

そのために僕も全力で頑張ります。

そして、僕の想いを受け取ってくださったみなさんにも、ぜひご自身のストーリーを付け加えて次へと伝えていってもらえると嬉しいです。

社会全体を良くしていくため、もっといろんな人にandewを届けるため、みなさんと一緒に社会にムーブメントを起こして行けたらと思っています。

チョコレートでどこまでムーブメントを起こすことができるだろうか。
まだまだ僕たちの挑戦は始まったばかりです。

一緒に社会を変えていきましょう。

病気を持った人も持ってない人も同じ喜びを分かち合う世界。
これがandewが最終的に目指す世界です。

僕はまだ医師ではない、でも今できることを。

*現在、医師としてはたらいております。記録としてそのままの記事を残させていただいております。

僕はまだ医師ではない。
当然患者さんを診ることはできないし、臨床の現場で活躍することはできない。
だけど、医学生のうちから、医学の世界に貢献することは、できる。

僕は今、北海道大学で脳腫瘍の研究をしている。僕が研究している膠芽腫というがんは、多くの患者さんが治癒することなく亡くなる。
この現状を少しでも変えたいと思い、日々研究を行っている。

そして、起業。
医療の外側でケアしきれていない課題を持続可能なものにするためには、ビジネス的視点が最適だと感じています。

この2つは今からでもすぐに行動に移すことができます。

たくさんの医療者が協力して、僕の心臓病を治し、僕の命を救ってくれたように、僕も医学生のうちから医療に恩返しができるように、できることをひとつづつ頑張っていこうと思います。

医師として見え始めた世界

2023年より、僕は医師として仕事をはじめました。
今までは、教科書の中の知識だった出来事が、日々、目の前の感情をもった人間の中で起きています。

患者さんの考え、今までの過去、これからの未来など、いろんな要素を考えながら治療をしていく。

ただただ、病気という事実を治すのではなく、退院したあとの生活まで考えることの重要性を強く感じています。

それは、僕が生まれつきの心臓病をもっていることが大きく関係しているかもしれません。

2歳の僕を手術してくれた先生に再会

たくさんの人たちの支えがあって、今の僕がいます。
次は、僕が病気で困っている人の、人生を作る番です。

まだまだ、1年目で勉強の身なので、毎日毎日、自己研鑽をして、少しでも早く僕の命を救ってくれた先生方のようになれるように頑張っていきます。

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TBS Nスタの取材動画の再生回数が800万回を超えました。
andewの原点となった、表皮水疱症について、よく理解していただけると思います。
ぜひご覧いただけますと幸いです。


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andew公式サイト https://andew.co.jp/  
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