青空
どこから聞こえてきたのだろう。
ビルの裏路地からだろうか。或いは通りを走る車の中からだろうか。
よく分からないが、あれはたしかにザ・ブルーハーツの「青空」だった。
僕が初めてブルーハーツを聴いたのは中学生の頃だった。
近しい友達に熱狂的なブルーハーツファンがいたので、その影響で自然と聞くようになった。
学校の登下校中は、田んぼの間を自転車ですり抜けながら、友達とブルーハーツを熱唱した。3段階までしか変速ギアのないボロ自転車だったが、ペダルはいつも軽かった。
悲しい気持ちになった時、夕焼けを見た時、友達と手を叩いて笑った時、いつもそこにはブルーハーツがあった。
僕は昔から、曲には自分の思い出が宿ると思っている。
誰しもが経験しているのではないだろうか。ある曲を聞くと、それをよく耳にしていた時代の状況や匂いを思い出す。
曲は思い出のタイムマシーンだ。
僕らをあの頃に連れ帰ってくれる。
僕にとってのタイムマシーンはザ・ブルーハーツだ。青い心臓はいまも胸でビートを刻んでいる。
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