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昨年から話題の三億円事件の告白本を思わず手にしてしまった話

犯行50年目、三億円事件の独白本?

先日、出張の帰りに浜松町の文教堂に寄ったときに平積みされていた『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』を購入して読んでみました。

三億円事件は、自分が生まれる前(1968年)の話ですが、強いインパクトを持って記憶しています。それはなぜかと言うと、小学生の時に穴が空くほど読んだ『ジュニアチャンピオンコース 驚異の記録 あの事件を追え』に三億円事件が掲載されていたからです。

他方、三億円事件を話題にした書籍はこれまで数多く出版されているようですが、自分はほとんど読んだことがありませんでした。にもかかわらず、書店で見かけた時に、子供の頃に読んだ記憶が蘇り思わず手にとってしまいました。

どんな事件だっけ?

ちょうど2年前に三億円事件をふりかえる記事がありました。

1968年12月10日、白バイに扮装した犯人が、偽の爆破予告を元に現金輸送車を調べるふりをして車を奪い去り、何度も乗り換えて逃走しこつ然と姿を消した。被害総額の3倍となる9億円の捜査費をかけた大捜査のかいなく時効を迎えた。未解決事件という観点では、グリコ・森永事件と並んで日本犯罪史に名を残す超有名事件です。

この事件の真犯人と名乗る人物が、妻の死をきっかけとして50年経って息子に真相を告白し、息子が世の中に発表することを提案して2018年夏にネットで公開し始めて話題になり、その後2018年12月に書籍として出版されたようです。ネットで話題になっていたことは全く知りませんでした。

中身はどうだった?

本書では、事件の発端となる少年Sとの出会いから、学生運動の組織に参加したのをきっかけに事件のヒントを得て、少年Sと二人の女性が交差しながら事件当日に至る流れが小説タッチに描かれています。

当時大学生だった白田(筆者であり真犯人と名乗る人物)のごくありふれた日常が、ふとしたきっかけから、徐々に犯罪に向かっていく過程がとてもリアルでした。日常と非日常の境界を踏み越えてしまうのは、大きなきっかけというよりも、本当に些細なことの連続なのかもしれないですね。

果たして真実?

ネットでは「真実なのか、創作なのか」で意見が割れているようです。自分は三億円事件の情報を収集していたわけではないので、真偽については判断できませんが、否定派の見解としては「詳細な記述がない」「物証がない」などの指摘がありました。


「小説サイトだから創作でしょ」とか「こんなチープな内容しか書けない人物に成功させられるわけがない」といったメチャクチャな論理で真偽を語ってる人もいますが、今後こういった反応に対して著者がどう対応するかは見守りたいです。

内容云々ではなく、本の奥付に小さく「この作品は、フィクションです」と書いてあるのは気になりますが。。。

ただ、アナタは本人なんですか?自称「三億円事件の犯人」に直接取材してみたの最後に、白田氏からのメールの返事としてこんなコメントがあり印象に残りました。

私はこの独白文発表を通じて強く感じたことがあります。
それは、「全ての人を信用させることは絶対に不可能だ」ということです。

秘密の暴露とその真偽が鍵?

ちなみに、三億円事件についてのWikipediaの記述をみると、次のような記載がありました。

なお、当時の担当刑事によると事件の際に発炎筒が通常通り点火しなかったが、犯人は通常とは異なる手法で発炎筒を点火させていることが遺留品から判明している。またジュラルミンケースには現金・ボーナス袋のほかにある特殊な「モノ」が入っていたという。発炎筒の特殊な点火手法やジュラルミンケースに留置された「モノ」は一般発表されておらず、捜査関係者と真犯人しか知らないはずである。

本文内に、この二点「発煙筒の点火手順」と「留置されたモノ」についての具体的な記載がありました。これが真実かどうかは、当時の捜査に関わった人達の反応を待ちましょう(50年前の捜査に関わってた方ってみなさん亡くなってるのかもしれない)。ちなみに府中署でも刑事の間で話題だそうです。

独白本が売れることについて

この本が炎上商法ではないか?という指摘もあります。三億円事件から50年という節目で一儲けしてやろうと企む人、話題になれば出版社としては売れればいいというスタンスで出版してもらえる、という構図。

内容に興味はあるけど、それに単に乗せられるの気分がよくないというのもある。今回は勢いで買ってしまいましたが、後日談を執筆予定の続編が出たとしてもしばらく様子を見ようかと思います。

仮に「印税を贖罪のためにどこかに寄付する」などの話が出てきたら信用できるかな? 当時の捜査で盗難金額の3倍の9億円の捜査費を使ったそうですから、警視庁あるいは捜査費は税金から出ているので国にでも寄付してあげてくださいね、白田さん!!

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