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憧れのAちゃんの話。

保育園には意地悪な子もいましたが、それ以上に優しい子もいました。
その中でも、Aちゃんはとても優しい子でした。

私は、母の勤務先の託児所では思い通りに喋れる好きな場所だったのに対し、保育園は休みがちでした。

保育園を何日か休んで久しぶりに登園した日、なぜかお遊戯会でお遊戯を披露するメンバーに選ばれていました。(今の時代は大体全員が一緒にステージに上がりますよね。)

私は子供の頃、歌や踊りが大好きだったので、喋れなくてもこういうジャンルのものは保育園でも楽しく参加していました。
皆んなが一斉にやること=自分に注目が集まるわけではないので。

そして、決められた事をやるだけで良いのが私には合ってたんです。

好きに遊ぶ、というのが1番苦手でした。そういう時間は黙って皆んなが遊んでいる様子をずっと見ている子供でした。

メンバーに選ばれたのは私が踊りが上手だからなのか、はたまた、先生が私を人前に出させることで引っ込み思案を解消させようとしたのかはわかりません。

ただ、これも私にとっては余計なことでした。
人前に出るなんて、場面緘黙症にとっては最も避けたいことです。

ところが、私と一緒にペアで踊る子が、優しい優しいAちゃんだったのです。(確か、赤、黄、白の3色の衣装を2人1組で身につけて踊るという内容だったと思います。)

休み明けに先生にその事実を聞かされ、皆の前で踊るなんて嫌だなと思っていたところへ、Aちゃんが「よろしくね。」と声をかけてきてくれました。

このAちゃんという子は、髪が長くて、おかっぱ頭だった私からしたらそれだけで憧れの存在。(私は幼児期の頃、ロングヘアにとても憧れて、家で長袖の服を頭に引っかけて長い髪風にして遊んでいました。今思うと、とても滑稽です。)

Aちゃんは、誰に対しても優しいけれど、ふざけている男の子に対しては注意をしたりもする、先生にとっても頼もしい存在の子としてみられていたと思います。

そのAちゃんとペアなら頑張れそう、と私には珍しくお遊戯会が楽しみになってきました。

私を含め、6人でお遊戯会の練習をするのですが、Aちゃん以外の子達もとても優しく私に接してくれました。

なので、本番を迎えて、無事お遊戯会で披露できた、この出来事は保育園の数少ない楽しかった思い出として心に残っています。

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