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隣のおうちのおばあちゃん。

とにかく保育園が大嫌いだった私。
毎朝、着替える時にグズグズ泣いては服が気に入らないとか色んな理由をつけてなんとか保育園に行くのを避けたい一心でした。

幸い、母親が看護師をしていた託児所にも預かってもらえていたので、保育園:託児所→6:4くらいの割合で通っていたと思います。託児所ではなぜか私は自由に話す事ができたので好きな場所でした。

その日はどうしても保育園に連れて行かれる日で、絶対行きたくなくて、家を出た瞬間、となりのおばあちゃん(親戚でもなんでもなく、ただのお隣さん)の家へ逃げ込みました。
母はしばらく保育園に行くよう私を説得していましたが、根負けし、諦めておばあちゃんに私を任せ仕事に行きました。

家に逃げ込んだからってそのおばあちゃんに特別懐いていたわけでもなかったのですが(普段会ったら一言二言会話をするくらいの距離感。)
保育園に行くよりはマシ!とあの頃の私は咄嗟の行動に出たのでしょう。

一日中何をして過ごしたのかは細かく覚えていませんが、たぶんテレビを観たり、お絵描きしたりしていたんだと思います。

おばあちゃんはたまに私に話しかけたり、お昼ご飯を作ってくれたり、静かに私を見守っていてくれたので、居心地は良かった気がします。

ですが、後にも先にも私がおばあちゃん家に逃げ込んだのはこの日の一回限りでした。

私が小学校へ上がったある日、夕方仕事から帰った母が、

「隣のおばあちゃんがお酒飲んで公園で包丁振り回してるから絶対いま外でちゃダメよ!」と血相を変えて言ってきました。
私の家の目の前には公園がありました。私は怖くてその状況を窓から覗くこともしませんでした。

数分後、おばあちゃんは警察に引き取られていったそうです。

一人暮らしだったおばあちゃんはアルコール中毒か、認知症になったのかもしれません。
それ以来、おばあちゃんに会うことはありませんでした。


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