知らないうちに疲れすぎていた

エレガント人生さんの、ブラック企業に勤めるカップルというコントを見た。意図せずにボーッとしてしまう様子がとてもリアルで秀逸に感じた。
現実には、疲れすぎている時の自分の行動をこうやって外側から客観視することはできないからこそ、非常に興味深いなと思った。
だから、定期的に人と過ごす時間を持ち、客観的に自分の状態を観測できることが大事だと思う。

私が大学院生だった頃、バイオ研究に従事し忙しすぎて疲労していた。
そんなある日、友達と話していたときに、私は「最近YouTubeで ピアノ曲やヒーリング音楽ばっかり聴いているんだよね」という話をした。
「なんで?」と問われた私は、「なんだか歌が聴けなくて。人の声って情報量が多いじゃん。」と答えた。

「それって普通じゃないよ。疲れすぎてるよ。」友人に言われた。



この会話まで、なにも気づいていなかった。
10年近く合唱をやってきて、歌が大好きなのに一切聞けなくなったこと。居室にいるとき、他の人の会話が聞こえるのがしんどくて、イヤホンでクラシックを流していないと気が狂いそうだったこと。家に帰宅した後も、家族の話をうまく聞けないこと。歩いているだけで涙が出ること。
同じ曲を繰り返し繰り返し聴くことで、それを拠り所に綱渡りのような状態で過ごしていた。

今ではだんだん、その頃の精神状態をはっきりとは思い出せなくなってきた。
でもこの経験を通してはっきりとわかったことがある。精神の不調は、決して自己管理不足じゃないこと。自分ひとりではだんだん壊れていっていることに気づけないこと。



今年も、一人でも多くの方が、健やかに暮らせますように。

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