さいごのことば

"なんでこんな話、LINEでするかな"

あたしは結局のところ

いつでも会いたいって思ってたから。

そやな、わかった、会って話そ

って言ってくれたらなって思って。

"あうにあえへんやん"

"でんわするにできひんやん"

って返ってきた。

これ、柳くんの本音。たぶん。

ごめん、そやんな。

そこやんな。

だいたい、そやったわ。

ずっと曇り空みたいに

LINEしてても話はずまなくて

きっとふたりともが同じように

もうやめなあかんなって。

正確には、

やめよって言わなあかんなって。

動きようがないのはあたしサイド。

こんなふうに詰むのわかってて

近づき合ったのはふたりがふたり。

夜中にそんな話されても

リビングで泣くこともできない。

でも、とめられない。

真夜中にリビングで泣き顔。

もしも夫がトイレに起きてきたら、

好きな人がいます

今からそこへ行きます

着の身着のままで出ていこうって考えた。

彼は珍しく起きてこなかったし、

柳くんは

"俺のせいでりょーこの幸せのベース壊したくない"

"りょーこは素敵な人やからもっとしあわせになってほしい"

"俺の自己満、綺麗事でごめん"

と、ほんまに純度の高いキレイゴトを

頻発してくれた。

ドラマのせりふで

“時の流れに身をまかせた人は、いずれ償うことになります”

って聞いたことがあった。

そこまでいってない人は

見つかったら最後、帰らないつもりで真夜中に家を出てく覚悟でひとり泣くしかない。

それでも甘いんじゃないかね。

どっちがトークの終止符打つのかという呼吸になってきたとき。

会ってるときって余裕かましちゃって

好きって言ってなかったなぁとか。

さっき、

なんで会って言わないのって言っちゃったことごめんとか。

いっつも車道側歩いてくれた

一目惚れって打ち明けてくれた

ありがと。

好き

ごめん

ありがと

涙といっしょに吐き出したことばは

この3つにまとまった。

死ぬときもこんな感じになるのかも。

目元がひどく乾燥するから気をつけてるのに

寝る前に涙でびっしょびしょにしてしまった。

ちゃんと顔洗って、塗り直して

寝よう。