北風と太陽
童話は世界という書物の読み方を教えてくれる。だから子どもたちはもちろん、大人になっても時々読み返す必要がある。
イソップ『北風と太陽』。旅人が歩いている。北風と太陽が賭けをする。「ひとつ、どっちが彼のマントを脱がせられるか、やってみようか」
北風はビュービュー吹いて、旅人のマントを吹き飛ばそうとする。しかし、吹けばふくほど旅人はマントの襟を立て、決して脱ごうとしない。
今度は太陽がにっこり笑った。あたりはポカポカの陽気になり、「暑いー」とばかり旅人はマントを脱いだ。
太陽「ははは。わたしの勝ちですね」
これを商いで読み解いてみる。
北風は、「今日からタイムセール! 全品半額! 安いよやすいよ!」とあおって売りつけるやり方。
太陽は、「お客様のことをしっかり観察して、必要なものを、必要なときにご提案します」というやり方。
これからの時代は太陽のスタイルだね・・・となるかもしれない。着地としては「JOY+WOW+LOVE and FUNを増やすから、太陽!」というのも納得しやすい。JOYWOW的には(笑)
しかし、さらにもう一歩踏み込んでみよう。世界の新しい見方を発見するのが科学の役割だから。そして、マーケティングも科学である。
商いの現場では、環境がどうなるかわからない。コントロールできない。使えるオプションが「北風」しかない場合がある。あるいは、「太陽」限定というのもあるだろう。自分では選べない。コントロールできない。
いくら自分は「太陽」で行こうと思っていても、「北風」を使うしかないことがあるし、それが普通だ。コロナの環境はまさに。
ではどうするか。
ぼくはここで何回も「関係」の重要性について書いてる。
たとえば
現代の商いでは、「関係ファースト」であり、商品は後でいい。
まず、どれだけ多くの人と「関係」を結べるか、そして、日常で「関係」を耕しているか。
旅人(名前は、そうだな、セルド君だとしよう)と良い「関係」を結べていたとする。手元にあるオプションが「北風」の場合;
「セルドくん、これからきっと寒さが厳しくなるから、このあったかい帽子、いかが? 手袋もすごくおしゃれなのがあるよ!」
オプションが「太陽」だったら;
これからあったかくなるから、ウォーキングが気持ちいいと思います。ぼくも趣味で良く歩くんだけど、このシューズ、とってもいいですよ。いま履いてるこれ、1年経ってるけど、ほら、こんな感じ。使えばつかうほど味わいが出てくるし、足にフィットして、歩くのが楽しくなりますよ。
童話『北風と太陽』から学べるのは、このように、自分ではコントロールできない環境オプションの中、「関係」こそが商いを持続させ、繁盛させてくれる鍵だということなんだと思います。ちゃんちゃん!
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