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タワマンばかり建ててんじゃねーよ

ある地方都市、商店街を歩いた。終わってる。

「知性」

という言葉が降りてきた。

知性は、知識の多寡で測定されるものではない。

著者はひきこもり。31歳。

自宅2階「子ども部屋」にずっといる。

生涯で千葉と東京の一部にしか出かけたことがない。それも数えるほど。


海外? あり得ない。

そんな絶賛ひきこもり環境の中、独学でルーマニア語を習得、小説や詩を創作し、ルーマニア文壇にデビューした。ルーマニアとの出会いは映画だった。

昔は日本人にとって未知の映画を紹介する批評家が多くいたと、当時の雑誌などを読むと何度も感じた。だが今や「未知」ってものを扱える批評家がいない。今じゃ世界の映画祭に簡単に行けるようになり、インターネットを通じて日本では知られざる映画を観ることができるようになった。だけどその拡大ぶりがあまりに急速かつ果てしなかった故に、これを取り扱える批評家がいない。そしてこれを扱おうっていうを持つ媒体もない。やつらは過去の映画史にしがみつくか、日本で公開される映画へ近視眼的に注目するばかりなんだ。今まさに築かれようとしている歴史を見ようとしない。俺にはそれがつまらなかった。

(中略) 

少なくとも日本の映画批評家のなかには、拡大していく世界に散りばめられた個々の作品、それらを線として繋げる知性はもはやない。この知性はインターネットに散らばる、好奇心に突き動かされた映画好きのなかにこそある。そんな存在に俺自身もなる必要があると。

『千葉から・・・』p.22-23 太字阪本

『パーミション・マーケティング』
マーケティングの世界で今まさに築かれようとしている歴史を感じたから翻訳した。日本のみんなに紹介したかった。新しかった。

昨日発売されたばかりの『ビジネスを育てる』新版も、「ビジネスの目的は金儲け」という幼い考えがあまりにもはびこり、このままでは日本を、世界をビジネスが壊してしまうのではないか、という危機感を覚えていた最中に原書と出会った。だから訳した。2005年。

ちょうどその同じころ、マークス寿子さんも同様の危機感を発信している。

今年2024年、新版を出したのも、「ビジネス」というものが、あまりに汚れ、幼稚になってしまったから。

メディアは、SNSは、「買え」と煽る。
それに乗る。買えることが幸せ。買えないと不幸。

いまはこれに「自分を売る」転職が加わった。

この動画見たとき、「君が乗ってるその飛行機代、転職して離れようとしている会社が出してる。返せ」とツッコミたくなった。会社の経費で乗った機内で転職先を探るなどという美しくない行為が「当たり前」に描かれる。
美徳も何もない。壊れてる。もちろん、知性のカケラもない。

冒頭、地方の商店街で知性を感じなかった理由は、「目線が低い」から。

知性というのは、目標を立て、現在地との落差を埋めようという動きだ。

目線が低く、「これだったら買ってくれそう」という媚(こび)しかない。
それは、ほかの販売現場のどこも同じようなものだ。

百貨店の売り場。
立ってる販売スタッフのミッションは「売ること」だ。
だが、たいてい同僚とおしゃべりに興じるか、スマホで何か見てる。

売る
ためには知性が必要。
勉強や取材も必要だろう。

そういう知性、「いまの自分を超えたい」という働きが消えた。

だからこそ、ぼくはビジネスの世界にJOY+WOW+LOVE and FUNという新しい価値観を増やしたい。新しい歴史を作りたい。

一つ覚えみたいにタワマンばかり建ててんじゃねーよ。

そんなの、知性とは言わない。

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