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人はもっと速い馬が欲しいのであり、車じゃない

マーケティングのお話をします。

どんな商品にも「機能ゾーン」と「ブランドゾーン」がある。

ソフトドリンクであれば、「りんご味」「水」「シュワシュワ」といった「飲む目的」が機能ゾーン。

それに何らかのストーリー・・・たとえば霧島で採水されたシリカ155.0mg(1ℓあたり)・・・がブランドゾーンになる。だからぼくは本体価格と同じだけの送料を負担してここの水を買ってる。これがブランドゾーン。

図解すると;

商品には次の3パターンある。

A = B
A > B
A < B 

このタイプの自販機は機能ゾーンが大きい。ブランドゾーン小さくして、100円。

花王アタックの衝撃はそれまでの洗剤が「これだけたくさんの容量があるのに、驚きの安さ」という「容量と価格のアンバランス」を販売訴求点としていたのを、ひっくり返したことにある。

詳しく説明しますね。

これだけの容量がある → 機能ゾーン
価格は機能ゾーンとブランドゾーンの和で大きさが決まる。
容量が大きいのに、和となったとき価格が小さい → ドヤ! 買ってくれ!! ついでに金銀パールプレゼントします

ライオンは洗剤市場のトップだった。このCMが1980年。

そこへ;

「わずかスプーン1杯で驚きの白さに」

容量が少なくて済む

という、従来の洗剤プロダクトが訴求していた機能ゾーンを「大」から「小」へとひっくり返した。これでライオンの首位もひっくり返した。1987年。

以来、「アタック」は「少ない洗剤でも大きな洗浄力」という価値を担うブランドとして育ってきた。

いまや「無菌レベルの消臭力」と言ってるが、そこまでくるとおっかないから我が家では使ってない(笑)

これはあくまでマーケティングのケーススタディです。

さて、ここでこんな日経MJ記事に出会った。

要するに、家電では「品質・性能」、「価格の安さ」、「費用対効果」などの「機能ゾーン」が購買選択の決定要素になっている、ということだ。

言い換えるなら、家電は新しい価値創造がしばらくできてない、だからロゴを出すのはじゃまだし、デザインを損なうからやめておきますわ。

でもね。顧客(ユーザー)の声にひいこらアタマ下げまくってるだけじゃ、何も未来は描けないよ。

ヘンリー・フォードの名言がある。

People wanted faster horses, not cars.
人はもっと速い馬が欲しいのであり、車じゃない

この場合の「人」は顧客(ユーザー)だ。

彼らは「いまあるもの」しか見えてない。

「もっと軽く」「もっと速く」「もっと安く」

しか言えない。

メーカー、商品開発者の役目は、そんな彼らにまだ見ぬ世界を見せること。

すぐおいしい、すごくおいしい

チキンラーメンはお客さんの声から生まれたものではない。

さあ、腕まくりしよう!!

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