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アートは人が生きるためには食べ物と同じくらい大事だと思ってる

阪本(以下、S)「今日はよろしく」

縄文人(以下、J)「こちらこそ」

S「まず最初にお伺いしたいのですが、これ、使いづらくない?」

J「気をつけないと欠けますからね。上のほう」

S「あ。やっぱり。何かここんとこ ↓ に実用的な工夫があるのかと」

J「実用的なもんはないっす」

S「ならどうして?」

J「そもそもの始まりは、煮炊きを発明したやつがいるんですよ。あれ、革命でした」

S「革命? おおげさな」

J「いやいや。米って知ってるよね?」

S「え!? 縄文の人って、米作してたの?」

J「とっくに。それでね。米って、あれ、そのままだと食えないじゃん。腹こわすよね」

S「まさか縄文人から炊飯の話が出るとは」

J「バカにしてる?(怒)」

S「ごめんなさい。してました」

J「生の米つぶは食えたもんじゃないけど、でも、炊くと美味しいよね。ふっくらホカホカ」

S「煮炊きのための調理器具が土器として生まれた」

J「食器も必要だしね。
    でね。しばらくして、気づいたんす。おれたち人間って、他のいきものの命をいただかないと食っていけないって」

S「なるほど。魚にしても獣にしても野菜にしても・・・」

J「そうそう。ありがたいな、と。感謝しなきゃなと。それでその感謝の気持ちと、天に行ってからまた巡りめぐってこっちに無事帰ってきてねという気持ちを何かで表現しなきゃいかんのじゃないか」

S「それって」

J「そう、スピリチュアルっての? それが生まれたんす。その表現がこれ」

S「実用性を捨てて、精神性を優先したわけですね」

J「精神が何より大事やん。実用より。スピリットこそがわれわれを生かしてくれているわけだからさ」

S「・・・いまの日本社会と全く逆だ」

J「わかる。さっきコンビニでペットボトルの水買ってくれたやん。あれ、出さなくていいの?」

S「円持ってないでしょ、あなた」

J「一応言っただけ。ごちそうさま。でさ、あのとき、自分でタッチパネルなんやかややって、結局店員は何もしなかったやん。あれ、何のため?」

S「・・・・」

J「実用性を高めるために商売の精神性を捨ててるよね。アートじゃないね」

S「アート?」

J「われわれの調理具や食器は、命をいただく神聖な儀式に使うものだから、アートが入ってないと。阪本も同じ人間だから、アート、要るよね?」

S「うん。要る」

J「じゃ、何してるの? ・・・って責めてるわけじゃないよ。アートは人が生きるためには食べ物と同じくらい大事だと思ってる」

S「でも現代の人間は経済が一番大事だと思ってるよ」

J「経済を大事に思って、結果が、商売の精神性を捨てるということであるなら、それって、どこかおかしくなってる証拠だよ。
そうそう、ちょっとこの記事見て」

S「これって日経アプリ記事じゃん。スマホ持ってんの?」

J「そういう細かい話は置いておこう。ここに出てくる『キャリア』とか『リスキリング』というのにアートはどれくらい関係してるの?」

S「ゼロ」

J「ゼロ!! なんてつまらないんだろう」

S「そうなんだよ。つまらんのだよ。でもそういうのに日夜振り回されてるのが現代人なんだ」

J「うちへおいでよ。スマホもAIもセルフレジもないけど、楽しいよ」

S「やめとく。自然苦手だから。虫おるし」

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