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決算書を活用した利益とキャッシュ最大化(第6回:損益計算書編③)

第5回の続きです。第5回はこちら ↓
決算書を活用した利益とキャッシュ最大化(第5回:損益計算書編②) | 記事編集 | note

決算書活用のSTEP2は、損益計算書(P/L)の実際の数字から経営状態の分析をしてみることです。そのポイントは3つです。

🔸ポイント3:一人当たり限界利益と適正人員

(1) 現在の平均給与

 PL編の最後のポイントは「一人当たり限界利益と適正人員」という考え方です。この会社の「一人当たり限界利益」は、ストラック図を使って考えると  一人当たり限界利益=限界利益 5000万円 ÷ 10人 で500万円/人 です。
次に平均給与を求めます。
 平均給与 = 一人当たり限界利益 500万円/人 × 給与分配率 68%
      = 340万円 
です。
もちろん平均給与は人件費総額3400万円を社員数10人で割れば求まりますがここでは 一人当たり限界利益 × 給与分配率 という考え方を知ってください。

(2) 目標とすべき一人当たり限界利益と適正人員

 この会社は給与分配率が68%と高いにもかかわらず、平均給与は340万円と決して高いとはいえません。例えば、社長が給与分配率を50%に引き下げて、かつ、平均給与を最低でも400万円にしたいと考えるならば、目標とすべき一人当たり限界利益はどれだけ必要でしょうか。
 平均給与= 一人当たり限界利益 × 給与分配率 ですから、
 目標一人当たり限界利益
             =目標平均給与 400万円 ÷ 目標給与分配率50% = 800万円
が算出できます。
 すると、この会社の現在の限界利益は5000万円ですから
 適正人員 = 限界利益 5000万円 ÷ 目標一人当たり限界利益 800万円
      = 6.3人
 となります。

(3) 目標とすべき限界利益と売上高

 しかし、現在の社員数10人を6人に削減するためには解雇が必要になります。無理な人員削減は当然、混乱を招きますので簡単にはできません。ただ、新たにヒトを増やせるような経営状態ではない、ということは認識する必要があります。
 では逆に、現在の10人のまま平均給与を400万円まで引き上げるにはどうしたらよいでしょうか。それは、10人で一人当たり限界利益800万円を達成することです。つまり、10人×一人当たり限界利益800万円=限界利益8000万円を稼ぎ出す必要があるわけです。そして、そのために必要な売上高は、
 必要売上高=限界利益 8000万円 ÷ 限界利益率 50%=1億6000万円
が求まります。
  また、限界利益が8000万円の時、人件費が3400万円から4000万円に上昇していますので、固定費総額は人件費4000万円+その他1300万円で5300万円になっています。しかし、利益は限界利益8000万円から固定費5300万円を差し引いた2700万円と当初の300万円よりも2400万円増加していることがわかります。売上げを1億円から1億6000万円に拡大することは簡単ではありません。しかし、3ヶ年から5ヶ年の中期経営計画をしっかりたてて、着実に実行していけば決して不可能な数字ではないはずです。 

詳しくは、動画「利益とキャッシュの最大化セミナー(PL編③)」をご覧ください。
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